全日本空輸(ANA)を傘下に持つANAホールディングス(HD)が表明した外部企業への社員出向で、少なくとも5社、最大約40人の募集が行われていることが28日、明らかになった。経営悪化を受け、一時的に人件費を圧縮する狙いがある。
ANAHDは27日、出向先として首都圏などで展開するスーパー成城石井、家電量販店大手ノジマの2社を公表した。内部資料によるとこのほか、人材サービス大手パソナ、通信大手KDDIへの出向も募集している。
募集人数は現状でKDDIが最大28人、ノジマ5人、パソナ4人。このほか企業名、募集人数を非公表として鳥取県内の企業への出向も募集している。
出向先での業務は、データ入力や資料作成といった事務や営業、社員向けの英会話講師などが提示された。期間は半年から2年程度が想定されており、出向先への転籍はないという。出向期間もANA側が社員に給与を支払うことは変わらないが、出向先企業から人材を派遣したことへの「対価」を受け取ることができる。
ANAHDは27日、2021年3月期連結決算の最終利益が過去最悪となる5100億円の赤字に陥る見通しであると公表した。出向はこれを受けた構造改革の一環だ。ANAHDは複数の企業と調整を進めている。社員出向は12月までに100人、来春までに400人以上に拡大させる方針だ。
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