新型コロナウイルスをめぐり中国の首都北京の空の玄関は、日本を含む感染が深刻な国などからの飛行機とその乗客に対し、専門エリアを設けて事実上「隔離」し、入国手続きなどをさせる措置に乗り出した。
感染の逆流入を警戒する中国の水際対策の強化だが、この時期に、日本から北京にやって来た人を待ち受ける運命とは?
空港に並ぶ白いテント
北京の首都国際空港では、昨日10日から感染拡大が深刻な国や地域から到着する飛行機と旅客に対し、専門エリアを設けた。対象となる国には、日本や韓国が含まれる。
空港のターミナルに隣接する職員用の駐車場には、急遽20以上の白い仮設テントが設けられ、消毒作業などが進められていた。
しかし、きのう日本から来た飛行機の乗客は、そのテントは使わず、空港から数キロ離れた施設に運ばれた。場所は急遽変更になったという。
その移送先で、中国側の要求する防疫のための手続きを受けた。
数キロ離れた「受付所」で登録
昨日、日本から北京に最初に到着した便は、成田発の日本航空便。予定時間より早く正午前に到着した。
関係者によれば、この飛行機の乗客は51人。うち日本人は12人だったという。
日本から来た乗客は、飛行機を降りる際に検温を受け、異常がなかった場合は、空港ターミナル内に特別に設置された専用エリアで入国や検疫の手続きをする。その後、手荷物を受け取り、中国側が手配したバスで、数キロ離れたコンベンション施設に移送された。
そこに設けられた「受付所」で更に手続きをするためだ。
乗客を待っていたのは防護服の係員たち
「受付所」には防護服を着た係員らが待ち構えており、乗客の登録手続きをする。乗客は、北京で向かう先、即ちホテルや自宅が所在する区ごとに手続きを受け、氏名や連絡先を登録する。その際、過去14日以内の訪問国や、発熱や呼吸器疾患の症状がないかなどの質問も受けたという。
出迎えの人がいる場合はその人の車で目的地まで行ける。いない場合は、中国側が用意したバスが目的地まで送る。
降機後の検温などで異常がみつかれば、指定の医療施設へ移送され、更に検査を受けなければならない。
昨日は、北京に到着後、登録手続きが終わるまで3時間ほど要したようだ。
市内に着いても2週間の隔離は必須
この手続きを終えて、ホテルや自宅に戻った人は、そこで更に2週間「隔離」され、毎日体温などを報告しなくてはならない。
隔離期間の過ごし方は人それぞれだが、北京ですでに1週間以上の隔離生活を耐えている日本人女性は、お気に入りのウイスキーで作ったハイボールが、数少ない気晴らしだそうだ。SNSで悲痛な訴えを受け取った。
「このまま飲み続けているとアル中になりそう」
入国手続きの厳格化以外にも、日本人に対する管理は厳しくなっている。日本人は15日以内の旅行やトランジットなら、ビザが免除されていたが、中国側はその措置を昨日から暫定的に停止した。
防疫措置とはいえ、日中を行き来するビジネスマンやその家族にとっては、なかなか悩ましい状況だ。
国内の当初の感染拡大の勢いが収まりつつある中で、中国は感染の「逆流入」に神経を尖らせている。今後、海外から来る人に対し、より管理を厳しくすることはあっても緩くする措置は、今しばらくはないだろう。
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March 11, 2020 at 02:10AM
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