「家の生活水準が上がったように錯覚できる『空箱』を作りました」という、あこがれの物体を撮影したツイートが話題です。自宅にこれがあるだけで、おしゃれな暮らしをかもし出してくれる万能ツールなんですけど、投稿された画像は単純にホースが繋がれただけみたいで、なにやらツッコミどころが多すぎて…。実は壮大な社会へのメッセージも込められているようなんです。
投稿したのは、書道家でコンテンツクリエイターの「もにゃゐずみ」(@Monyaizumi)さんです。6月30日につぶやいたところ、7月2日夕刻までに15万件近い「いいね」がついています。
撮影されているのは、一見ウォーターサーバーのような物体です。照明も設置され、暗がりでは壁面をおしゃれに照らすこともできますが、箱は紙を上から貼ったかのようにべこべこだし、水の入ったタンクはお手頃な焼酎のペットボトルみたいだし…。しかも、箱の後ろにはなぜか水道の蛇口があって、これまた相当チープなホースで本体と直結されています。ということは、ここから出てくる水は…?
投稿を見た人たちからは、その雑なつくりにツッコミの声が続々と。また、「(リビングのど真ん中の壁なのに)なぜこんなところに蛇口があるのか」という厳しい指摘のほか、水の出る様子が激しすぎることに「水圧理科室かよ」という感想まで。デザインの凝ったソファーが気なりすぎて、作品が分からなくなってしまう人もいました。
それらに対してもにゃゐずみさんは、Twitterでこんなふうにコメント。「これ、企業さんからの依頼で作ったんですが、空箱に穴開けただけでOK出す会社、いい意味でおかしいと思いますよ」…。ええっ、どういうこと?
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実はこちら、水道インフラ企業Fracta(フラクタ)が行ったクリエイターとのコラボ「#わたしと水道 〜水道から考える、当たり前の生活~」の一環で制作された作品。
ほかにも、頭の中に浮かんだ不必要なものを何とか作り上げる「無駄づくり」で知られ、 YouTubeを中心にコンテンツを広げている藤原麻里菜(@togenkyoo)さんが参加。こちらは「おたま水ぶしゃープロテクター」と題して、キッチンでおたまを洗っているときに飛散する水から、イケメンが身を呈して守ってくれるという装置を紹介しています。
でも、こんな一見無駄そうな作品を見て笑っていられるのも、普段の水道を使った暮らしが、十分に快適だからかもしれません…。同社は作品を通じて、水道管をとりまく現状を知ってほしいといいます。
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同社によると、日本の水道管の多くは1960―70年代の高度経済成長期に敷設されたもの。交換の目安となる耐用年数は40年で、老朽化が進んでいるにもかかわらず、予算の問題などで更新が十分できているとはいえないそう。すでに年間2万件以上の漏水・破損事故が発生している一方で、現状のペースで更新するには130年以上かかるともいわれており、きちんと水道管の状態を把握しながら、適切に対処していく必要があるのだといいます。
Fractaは2015年に米国・シリコンバレーで創業されたベンチャー企業。AIや機械学習を用いて、オンラインで水道管の状況を診断し、水道管の更新投資の最適化を図るサービスを提供しています。米国では50州中27の州で採用され、日本でも豊田市で導入が始まろうとしています。
同社の広報担当者は今回のプロジェクトについて「コロナ禍で当たり前の生活が当たり前ではなくなった今こそ、身の回りの水道インフラにも目を向けるきっかけをつくるため取り組みました。水道にまつわる日常をテーマにしたライトなコンテンツをきっかけに、水道の現状や、Fractaへの関心を持ってもらうことを目的にしています」と説明。
また、2人のクリエイターを起用したことについては、「2人の発信するコンテンツは、日常の中でのたわいもないインサイトをついたものが多いので、水道にまつわる日常への共感を図るという目的の上でも、相性が良いと考え、起用しました。『おたま水ぶしゃー問題』や『ウォーターサーバー』も、水道との何気ない接点での共感性の高い文脈として考えています」としています。
■#わたしと水道 水道から考える、当たり前の生活
https://www.fracta-jp.com/culture/watashitosuido
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July 02, 2020 at 05:05AM
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あこがれアイテムかと思いきや…ホースを繋げた、ただの箱 話題の画像に込められた「壮大なメッセージ」 - 神戸新聞社
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