金沢歌劇座の開館60周年記念オペラ「滝の白糸」セレクション(北國新聞社特別協力)は23日、同歌劇座で上演された。文豪泉鏡花の名作を、新演出を加えた壮大なスケールで表現。水芸の太夫・滝の白糸と法律家を目指す青年・村越欣弥の純愛を描いた幻想世界が、満場の観客を魅了した。
オペラは、北陸を舞台にした泉鏡花の小説「義血侠血(ぎけつきょうけつ)」が原作。白糸をソプラノ歌手の腰越満美さん、欣弥をテノールの金山京介さんが演じ、金沢市出身の俳優、田中美里さんが語りを務めた。
指揮者の辻博之さん率いるオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の優美な演奏と金沢オペラ合唱団の透き通った歌声が舞台を支えた。
高岡で出会った白糸と欣弥は、月夜に金沢の浅野川の天神橋で再会する。白糸は純真な恋心を歌い上げ、欣弥も募る思いを詩情的に歌声で表した。大罪を犯した白糸が、出世して検事代理となった欣弥に罪を問われる場面では、メゾソプラノの秋本悠希さんが涙ながらに白糸へ感謝を伝える欣弥の母を熱演。監獄でひとときの逢瀬(おうせ)を果たした白糸と欣弥は「あなたなしには生きられぬ」と歌声を重ね、永遠の愛を誓い合った。
田中さんは、場面が切り替わるごとに各シーンの説明をし、情感豊かな抑揚のきいた語りで出演者の細やかな心情を伝えた。
最終幕では、田中さん自身が水の神・瀬織津(せおりつ)姫として登場する新しい演出がなされた。田中さんは白糸を黄泉(よみ)の国へといざない、はかなく胸打つラストが観客の涙を誘った。終幕後は盛大な拍手で包まれた。
上演に先立ち、田中さんとオペラを作曲した千住明さん、滝の白糸のカバーを務めたソプラノ歌手の木村綾子さんが見どころを語った。オペラは泉鏡花フェスティバル関連事業として開かれた。
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