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Sunday, November 8, 2020

その人にマッチする目的地を提案、日産「トラベルトリガー」開発担当 安東PLに聞く - レスポンス

日産自動車が、地図サービス「MapFan」を手がけるインクリメントPと協業し、10月4日から2021年4月30日までの6か月間実施する実証実験「トラベルトリガー」。その狙いや構想について日産自動車トラベルトリガーの安東慶人プロジェクトリーダーに聞いた。

トラベルトリガーは、ユーザの行動データの分析をもとに、旅行を提案していくサービスで、インクリメントPのポイ活アプリ「トリマ」を利用する会員の行動データを日産に提供し、分析。ユーザの趣向やライフスタイルを理解し、好みに合った旅行先を提案していく。今回の実証実験は6か月でトラベルトリガーの技術的に検証する。

日産 安東PLは、ソフトバンクから日産へ移った人材。「ゼロから新しい企画を創出させるリーダを務めている。前職はソフトバンクで商品企画を担当。さまざまな企画を担当してきた。IoTなどを活かし、おもちゃから医療機器まで700以上の企画をつくり、400以上のビジネスをつくってきた」。

最も可能性があるのは自動車のなかのサービス

「そのなかで、最も可能性があるのはレベル4以降の自動運転が成立したときの自動車のなかのサービス。そこに注目し、2年前に日産自動車に入って、コネクテッドサービスビジネスの開発グループの課長に」

「開発グループのミッションは、企画、ビジネスモデル、技術的な実現性の確認、パートナーとの連携。この4つの要素をパッケージングして新規サービスをすすめていくこと。これらを個別に行ってもなかなか立ち上がらなかったりすすまなかったりするので、この4つの要素を同時に検討してすすめていく」(安東PL)

トラベルトリガーの具体的な利用イメージ

「ユーザは自動運転のクルマで移動するとき目的地を入力する。日産側には必ずその情報が集まってくる。たとえば自宅から職場、買い物、習い事、旅行と、ユーザそれぞれがどう移動しているかの傾向とライフスタイルを行動データから分析・理解し、そこにあうような行き先の候補の提案していく」

「構造イメージは、いま流行っているNetflixやYouTubeなどにちかい。YouTubeなどをみていると、“おすすめ動画”が出てくる。それと同じく、クルマで移動していくうちに、後ろで行動履歴が分析され、“おすすめ行き先”が提案されるイメージ。ユーザはそのおすすめスポットを選んで、新たな目的地を設定して動いていく」(安東PL)

日産は情報提供料でビジネス化していく

「こういった構想を実現させるには、データプラットフォームの構築がいる。いま現在、足りないのはスマホのデータや、ユーザが入力するデータ。それらを統合して、ユーザのプロファイルをつくり、今回のトラベルトリガーのようなサービスを展開していきたい。日産はそれに対してサービス料金という対価を手に入れていく」

「同時に日産が独自にサービスを直接届けるものもあれば、間に外部のサービスをはさむものもあるだろうと。われわれがユーザから了承を得たサービスについては、データのアクセス権を外部の事業者に提供し、日産はその情報提供料でビジネス化していく。実はこちらの間に事業者をはさむほうが主流になると思っている」(安東PL)

2021年度以降は実際に「旅の提案」ができるように

「トラベルトリガーのコンセプトは、『新しい旅行のきっかけになる』こと。まだまだ知られていないスポットや新しいエリアに対し、ユーザのライフスタイルや志向を理解したうえで、その人が共感できる目的地を提供していく。そこには好きなものだけを提案するだけじゃなくて、『偶然の発見』のようなものも提案していきたい」

「実証実験を経てリリースするまでには、『スマホアプリで行動データを分析しユーザプロファイルを作成する』『それに合うような提案エンジンを開発する』『プロファイルをもとにした旅を提案していく』『その提案のもとで移動した行動データをフィードバックし提案精度を高める』というサイクルを回すこと要る」

「今回の実証実験フェーズでは、『スマホアプリで行動データを分析しユーザプロファイルを作成する』『それに合うような提案エンジンを開発する』のふたつ。この結果をふまえて来年度以降は『旅の提案』を開始していきたい」(安東PL)

協業で、クルマから降りたあとの行動データやPOIを得られる

「今回、インクリメントPと協業した理由は、『人流データを使って新しいビジネスをつくっていく』という方向性が合致したことから。日産はクルマのなかの行動データを持っている。インクリメントPは、クルマから降りたあとの行動データや、ユーザの属性データ、緯度経度にどんな施設があるかといったPOI(Point Of Interest)の情報を持っている」

「日産は今回の協業で、クルマを降りたあとの行動データやユーザ属性、POIを得られる。たとえば、クルマを離れて長く滞在したところにはどんな施設があるかも共有できる。またアンケートで集まったユーザ志向・価値観・旅行プランなどの情報も入る。こうしたデータを集積し、ユーザプロファイルを作成していく」

「プロファイルのイメージは、年齢、性別、家族構成、仕事、志向、よく行く旅先、食べ物の好み、趣味など。たとえば温泉やうどんが好きという人には、以前に行った温泉と似た魅力がある温泉や、マイナーでも秘境として人気の温泉を提案したり、新しいうどん屋さん提案しつつ、その周辺でその日に開催されるローカルなお祭りを教えたり」(安東PL)

今回の実証実験で日産は、クルマ移動を促進すべく、同社が展開するカーシェアリングサービス「NISSAN e-シェアモビ」で利用可能なクーポンを「トリマ」の会員に提供。距離料金の発生しない同サービスの車両を活用し、ユーザのさらなる「自由な旅行」を後押しするという。

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