セラノス元CEOホームズ有罪判決が意味する事
有罪判決を受けた、アメリカの血液検査会社セラノスの元CEO、エリザベス・ホームズはいかにしてシリコンバレーでのし上がったのか(写真:The New York Times)
エリザベス・ホームズの刑事裁判の終了間際、同氏の弁護団は、彼女の自己罰的な自己改善計画を証拠として提出した。
「午前4時起床、神に感謝」と手書きのメモは始まり、運動、瞑想、祈り、朝食(ホエイと、彼女の綴りでは「バンナナ」)と続く。午前6時45分、まだ怠け者が目覚まし時計を探し回っている頃に、彼女は2003年に設立した血液検査会社セラノスに出社している。
「1つの時代」に終わりを告げる判決
ホームズはセラノスにおける多くのルールを設けていた。「1分たりとも遅れない。興奮を見せない。すべてはビジネスのため。衝動的にならない。すべての出会いの結果を知っておく。躊躇しない。つねに決断し、必要に応じて変更する。めったにしゃべらない。デタラメはすぐに指摘する」などだ。
そしてそれはうまくいっていた。ホームズの決意はとても固く、不可能を認めることを拒否することで不可能を実現する、というシリコンバレーのやり方にぴったりだったので、1月3日に陪審員が正式に4件の詐欺罪で有罪判決を下す瞬間まで、彼女を信じる人々がいた。
この判決は1つの時代の終わりを告げるものだった。話だけと実績の境界線が曖昧なシリコンバレーにおいても「インチキ」がいよいよ限界に達した、という。
スタンフォード大学の中退からセラノスの90億ドルの評価額、そして有罪判決までの壮大な栄枯盛衰は、ハイテク産業がイーロン・マスクやジェフ・ベゾスによって地球外植民地での新しい生活に向けて出発するまで、カリフォルニア州パロアルトのコーヒーショップやジュースバーで、スルメイカのように味の出る話の種になり続けた。
ホームズは10年の間、経験豊富な投資家、何百人もの優秀な社員、豪華な役員、そして新たなスターを、たとえ資格がなくても、あるいは資格がないからこそあがめたがるメディアをあばき続けてきたのだ。
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