
隣国との国交に関する基本合意(条約や関連協定)にすら、へ理屈を付けて「ご破算」にしようと策動を続ける国だ。その国が署名した国際合意を守らなかったとしても驚くに値しない。しかし、初めから守る気もないのに署名したとなると…。親しくお付き合いできる相手でないことは明らかだ。 11月初め、英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)での韓国の行動だ。 韓国は「クリーンエネルギーへの移行に関する声明書」に署名した。石炭火力発電を2030年代には全廃するとの内容だ。 日本は石炭火力への依存度が3割強で、世界的に高い国に属する。さまざまな措置を進めても、30年代(39年まで)の全廃はとても無理との判断から署名しなかった。 一方、韓国の石炭依存度は、日本よりはるかに高く4割弱だ。それなのに、躊躇(ちゅうちょ)なく署名した。 実は、この声明書には、日本をはじめ、米国や中国、ロシアなども署名していない。200近いCOP26参加国の中で署名したのは40カ国に過ぎないのだ。 この声明書に署名する3日前、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はCOP26の各国首脳の基調演説で、「2050年に石炭火力発電を全廃する」との目標を語った。 一国の長期的なエネルギー計画とは、官民の優秀な人材がカンカンガクガクの討議を重ねても、容易に決められないもの-そう思っていたら、韓国は政府部内の公式協議もしないで、石炭火力全廃の日程を「50年」から「30年代」に、一挙に短縮してしまったのだ。 そんなことをして国内的に問題にならないのか。 韓国のマスコミも、さすがに驚いたようだが、政権ベッタリの新聞ハンギョレ(11月6日)が伝えた産業通商資源省の見解はこういうものだった。 「クリーン電源への移行の加速化を支持するものであり、脱石炭の期限に同意したものではない。(石炭削減に)努力するという意味」 つまり「努力したが駄目だった」と、いずれ言い訳することを大前提に署名したというのだ。 このところ反政権のスタンスを鮮明にしている中央日報(11月6日)には、当局者や識者の引用ではなく、記者の地の文書として「今回の合意は声明であり、強制的な拘束力はない」とあった。守る気など、最初からないのだ。 韓国の「50年の全廃」目標の前段には、炭素排出量を30年には18年実績より40%減らすとの計画がある。が、それすらも韓国内では実現性が疑われている。 それに対して、文大統領はこのところ「水素」に言及する。「クリーン水素先導国家になる」と言うのだ。 大統領には、水素エネルギーを活用すれば、脱原発を進めつつ石炭火力を全廃してもエネルギー不足に陥らないという壮大な未来構図がある。 おそらく彼には、韓国の水素関連技術の現状を伝える記事など目に入らないのだろう。 中央日報(11月1日)は、「水素1トンを生産するのに二酸化炭素10トンを排出」と韓国の技術レベルを伝えている。(室谷克実) ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に『悪韓論』(新潮新書)、『反日種族の常識』(飛鳥新社)、『呆韓論』(産経新聞出版)、『韓国のデマ戦法』(同)など多数。
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