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Friday, November 12, 2021

「エターナルズ」マーベル愛にじむジャオ監督 よくぞまとめた壮大な物語 - 映画な生活 - 芸能コラム - ニッカンスポーツ

「アベンジャーズ エンドゲーム」(19年)で、おなじみのヒーローたちが「最後の戦い」を終えた。壮大なシリーズの仕切り直しとなるのが「エターナルズ」(公開中)で、メンバーは一新。「新顔」ばかりのヒーロー集団が登場した。

監督は「ノマドランド」(21年)で一躍注目されたクロエ・ジャオ。インディー精神にあふれ、人情の機微を描く女性オスカー監督と、スーパーヒーローが勇躍するマーベル映画は対極の組み合わせだ。シリーズをコントロールするスタジオボスたちはかなりのギャンブルに出たことになる。

不老不死のヒーロー集団エターナルズは7000年前から人類を救ってきたという設定だ。近年姿を現さなかったのは、彼らが「ディヴァイアンツ」と呼ばれる特定の怪物に関する事柄以外は、人類に関与することが許されない戒めがあり、最強の敵サノスとの戦いもアベンジャーズに任せてきたのもそういうわけで…と序盤で彼らがアベンジャーズを俯瞰(ふかん)するような大きな存在であることが分かってくる。

かなりの大風呂敷を2時間半余りにどうまとめるか。おまけに「新顔」ばかり10人のヒーローのキャラ紹介も織り込まなければならない。ジャオ監督が背負ったものは半端ない。

7000年の歴史と、そういったもろもろの基本情報で、前半に説明調の色合いが強くなるのは避けられないが、ジャオ監督は想像以上にすっきりとまとめている。「監督として映画を作っているわけではない。ファンとして作っている」という監督のメッセージにある通り、随所にマーベル愛がにじむ。詳述は避けるが、新ヒーローたちのスーパーパワーのバリエーションやアクションの見せ場は遜色ない。序盤の主戦場がロンドンだからだろうか。初めて「ハリー・ポッター」シリーズを観たときのようなワクワク感もあった。

一方で、自然光を生かしたロケ撮影の美しさや渋めの色づかいには「ジャオ流」がのぞく。終盤、スケール感を越えた造形物のドデカさは中国の伝記ものをほうふつとさせる。

アベンジャーズでは想像できなかった、ヒーロー同士の恋愛模様も描かれる。メンバーの1人で、人の心を操れるドルイグは「僕がその気になれば、世界から戦争をなくすことが出来る」と本音を漏らすが、なぜそうすることが許されないのか。哲学めいた問い掛けも込められている。

ジェンマ・チャン、リチャード・マッデン、リク・マクヒュー…個性派ぞろいのキャストの中にアンジェリーナ・ジョリーと「ドン・リー」とクレジットされたマ・ドンソクがいて、やっぱり目が行ってしまう。

盛りだくさんは「散漫」とも受け取られ、米国の批評サイトには辛口コメントも目立つが、よくぞまとめたという印象の方が強かった。鑑賞後に語り合いたくなる要素がいっぱいある作品だ。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

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