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Friday, April 30, 2021

「Valheim」は意外に重い!? GeForce RTX 3080までの8GPUで徹底検証。フルHD/WQHD/4Kで比較 - PC Watch

Valheim

 バイキング文化にインスパイアされた、北欧神話系ファンタジー世界が舞台のオープンワールド・サバイバルアクション「Valheim」は、今年(2021年)2月にSteamで早期アクセスを開始してから以来、全世界で600万本以上を売り上げたヒット作となっている。

 今回は、そんなValheimをプレイするために必要なGPU性能はどの程度のものなのか確かめるべく、デスクトップ向け第11世代Core(Rocket Lake-S)の内蔵GPUからGeForce RTX 3080まで、全8種類のGPUでパフォーマンステストを実行してみた。

意外と「重い」Valheimのシステム要件

 検証に入る前に、Valheimが公式に公開しているシステム要件をチェックしておこう。Valheimでは「最低環境」と「推奨環境」が公開されており、それぞれ以下の表のようになっている。

【表1】Valheimのシステム要件
最低環境 推奨環境
CPU 2.6GHz 4コアCPU 3GHz Core i5/Ryzen 5
メモリ 8GB 16GB
GPU GeForce GTX 950
Radeon HD 7970
GeForce GTX 1060
Radeon RX 580
DirectX DirectX 11
ストレージ 1GB利用可能
OS 64bit版Windows 7以降、SteamOS

 この表を見て気付くのは、意外とGPUへの要求が高いという点だ。推奨環境ではGeForce GTX 1060とRadeon RX 580、最低動作環境でもGeForce GTX 950やRadeon RX 7970が要求されており、そこそこGPUへの負荷が高いタイトルであることが伺える。

Valheimの性能を8種類のGPUでテスト

 今回、Valheimでテストを行なうにあたって用意したのは、CPU内蔵GPU2モデルと、ビデオカード6製品の計8GPU。

 CPU内蔵GPUについては、Core i5-1135G7の「Iris Xe Graphics」と、Core i7-11700Kの「UHD Graphics 750」を用意した。Iris Xe Graphicsを備えるCore i5-1135G7については、14型モバイルノート「LG gram 14Z90P」に搭載されたものを使用している。

検証に使用したCPUとノートPC

UHD Graphics 750を備えるCore i7-11700K
Core i5-1135G7とIris Xe Graphicsを備える14型モバイルノート「LG gram 14Z90P」

 ビデオカードについては以下を用意した。

  • GeForce GTX 1650
  • GeForce RTX 3060
  • GeForce RTX 3060 Ti
  • GeForce RTX 3070
  • GeForce RTX 3080
  • Radeon RX 6800

 このうち、GeForce GTX 1650についてはMSI製のGDDR5版、GeForce RTX 3060についてはZOTACのオリジナルOCモデルで、残るGPUはリファレンスモデルとなっている。

 Core i5-1135G7(Iris Xe Graphics)については搭載ノートであるLG gram 14Z90Pで検証を行ない、その他のGPUについてはCore i7-11700Kを搭載したZ590環境でテストを行なっている。各GPUのテスト時動作仕様と、その他の機材については以下の通り。

【表2-1】各GPUのテスト時動作仕様
GPU Iris Xe Graphics UHD Graphics 750 GeForce GTX 1650 GeForce RTX 3060
ビデオカードベンダー CPU内蔵 CPU内蔵 MSI ZOTAC
GPUアーキテクチャ Xe Xe Turing Ampere
製造プロセス 10nm 14nm 12nm 8nm
EU/SP/CUDAコア 80基 32基 896基 3,584基
ベースクロック 350MHz 1,485MHz 1,320MHz
最大ブーストクロック 1,300MHz 1,300MHz 1,665MHz 1,807MHz
VRAM LPDDR4x DDR4 4GB GDDR5 12GB GDDR6
メモリスピード 4,266Mbps 3,200Mbps 8.0Gbps 15.0Gbps
メモリ帯域幅 68.3GB/s 51.2GB/s 128GB/s 360GB/s
Resizable BAR 有効
【表2-2】各GPUのテスト時動作仕様
GPU GeForce RTX 3060 Ti GeForce RTX 3070 GeForce RTX 3080 Radeon RX 6800
ビデオカードベンダー NVIDIA NVIDIA NVIDIA AMD
GPUアーキテクチャ Ampere Ampere Ampere RDNA 2
製造プロセス 8nm 8nm 8nm 7nm
EU/SP/CUDAコア 4,864基 5,888基 8,704基 3,840基
ベースクロック 1,410MHz 1,500MHz 1,440MHz 1,700MHz
最大ブーストクロック 1,665MHz 1,725MHz 1,710MHz 2,105MHz
VRAM 8GB GDDR6 8GB GDDR6 10GB GDDR6X 12GB GDDR6
メモリスピード 14.0Gbps 14.0Gbps 19.0Gbps 16.0Gbps
メモリ帯域幅 448GB/s 448GB/s 760GB/s 512GB/s
Resizable BAR 有効 有効 有効 有効
【表3】その他のテスト機材
GPU Iris Xe Graphics UHD Graphics 750 GeForceシリーズ Radeon RX 6800
CPU Core i9-10900K Core i7-11700K
コア数/スレッド数 4/8 8/16
マザーボード LG gram 14Z90P ASUS TUF GAMING Z590-PLUS WIFI
[UEFI:0811]
メモリ 8GB LPDDR4x-4266 32GB DDR4-3200
システム用SSD Samsung PM981 512GB
(PCIe 3.0 x4)
Samsung SSD 980 PRO 500GB
(PCIe 4.0 x4)
電源 Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum
グラフィックスドライバ 27.20.100.8853 27.20.100.9466 27.21.14.6611 27.20.15003.5017
OS Windows 10 Home 64bit
(Ver 2004 / build 19041.928)
Windows 10 Pro 64bit
(Ver 20H2 / build 19042.928)

DirectX 11とVulkan、2種類のAPIでValheimをテスト

 今回の検証では、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)という3種類の画面解像度で、描画品質を「最高」と「最低」に設定した際のフレームレートを測定する。

 また、Valheim標準のグラフィックスAPIであるDirectX 11の他に、v0.146.8でサポートされた「Vulkan」での性能も測定した。テスト時のゲームバージョンはv0.148.7。

描画設定の差

描画品質「最高」。多数の草や遠近感のある描画によって、うっそうとした森が表現されている
描画品質「最低」。草や影が簡略化され、遠近感の薄い描画となっている
描画品質「最高」設定。品質設定をHighまたはVery Highに設定し、オプションも全て有効にしている
描画品質「最低」設定。全ての品質設定をLowに設定し、オプションは全て無効にしている

フルHD解像度での性能

 まずはフルHD解像度での性能から確認していこう。

 描画品質「最低」では、GeForce GTX 1650でも60fpsをゆうに超える平均フレームレートを記録しており、GeForce RTX 3060以上のGPUは130~140fpsほどでスコアが頭打ちになっている。上位GPUのフレームレートが頭打ちになっているのはCPUのボトルネックによるものだ。Vulkanの利用で大きく性能が向上しているのはRadeon RX 6800のみで、他のGPUについては大きな変化は見られない。

 一方、内蔵GPUの結果では、Core i5-1135G7内蔵のIris Xe GraphicsがDirectX 11時に31fpsを記録しており、プレイ可能なレベルの性能を発揮しているが、Core i7-11700K内蔵のUHD Graphics 750は18.4fpsでプレイ困難だ。また、Vulkanを利用すると、Iris Xe Graphicsは動作が不安定になり、UHD Graphics 750もフレームレートが半減している。

フルHD (1,920×1,080ドット)、描画品質「最低」

 描画品質「最高」では、平均60fps以上を記録したのはGeForce RTX 3060以上で、GeForce GTX 1650がプレイ可否の基準となる30fpsをかろうじて上回った。

 VulkanとDirectX 11を比較すると、GeForce RTX 3060以上のGPUではVulkan利用時の方が良い結果を記録しており、GeForce RTX 3060 TiやRadeon RX 6800は1割以上フレームレートが向上している。

フルHD (1,920×1,080ドット)、描画品質「最高 」

WQHD解像度での性能

 続いて、WQHD解像度での性能を比較した。

 描画品質「最低」では、GeForce RTX 3060以上のGPUが130fps前後のフレームレートで横並びとなっている一方、GeForce GTX 1650は60fpsを下回った。内蔵GPUに関してはIris Xe Graphicsをもってしても20fpsを下回っており、プレイ可能なレベルの性能は得られていない。

WQHD (2,560×1,440ドット)、描画品質「最低」

 描画品質を「最高」にした場合、最新世代のミドルレンジGPUであるGeForce RTX 3060でも53.3fpsとなっており、60fpsを上回ることができたのは、71.8fpsを記録したGeForce RTX 3060 Ti以上のGPUとなった。また、エントリークラスのGeForce GTX 1650については23.2fpsであり、プレイするのは困難だ。

 なお、Vulkanの利用によって、GeForce RTX 3060 Ti以上のGPUにはフレームレートの向上が見られる。効果のほどはGPUによりけりだが、概ね最新世代のGPUではVulkanを利用することで、DirectX 11と同等以上のパフォーマンスが得られるようだ。

WQHD (2,560×1,440ドット)、描画品質「最高」

4K解像度での性能

 最後に、4K解像度での性能を確認する。

 描画品質「最低」では、GeForce GTX 1650がかろうじて30fpsを上回っており、現実的に意味があるかはともかく、エントリーGPUでも画質を犠牲にすれば4K解像度でのプレイが可能だ。

 GeForce RTX 3060以上のGPUは60fpsを上回っているのだが、DirectX 11利用時のRadeon RX 6800やGeForce RTX 3070以下のGPUは、CPUがボトルネックとなる130fps前後より低いフレームレートとなっている。これらのGPUはVulkanの利用でフレームレートが向上しており、VulkanがGPU側のボトルネックを改善していることが伺える。

4K (3,840×2,160ドット)、描画品質「最低」

 描画品質「最高」では、上位GPUでもフレームレートが顕著に低下しており、60fpsを上回ったのはGeForce RTX 3080のみとなった。プレイ可能な最低ラインが32fpsを記録したGeForce RTX 3060で、安定して30fps以上を狙うならGeForce RTX 3060 Ti以上を用意したいところだ。

4K (3,840×2,160ドット)、描画品質「最高」

見た目以上にGPUへの要求が高いValheim
快適に遊ぶなら単体GPUの利用がおすすめ

 ゲーム画面を見ると軽量なゲームにも見えるValheimだが、今回の検証結果が示す通りGPUに求められる性能はそれなりに高い。フルHD解像度ですら、CPU内蔵GPUでプレイするのは困難であり、少なくともGeForce GTX 1650と同等以上のGPUを備えたビデオカードやゲーミングノートを用意したい。

 クラフト要素によってオリジナルの建造物を生み出すことのできるValheimでは、自らの作り出した景観を楽しむ上で、描画品質を高く設定するメリットも大きい。予算に余裕があるなら上位GPUの導入も検討してみるとよいだろう。

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