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Friday, July 24, 2020

片桐はいり、マイブームは自転車。距離も目的地も考えない旅が「楽しい」ワケ(telling,) - Yahoo!ニュース

「演劇とか映画をもっと大切に扱おうと思った」ステイホーム期間

――この春には、演劇の公演や映画の公開がいくつも中止になりました。その様子をどんな思いで見ていましたか? 片桐はいりさん(以下、片桐):それはもう、悔しさが半端じゃないっていうか。私たちの6月に上演予定だった舞台はまだお稽古に入る前に中止が決まりましたけど、ゲネプロ(舞台での通し稽古)までやっていてとか、公演があと2回だけなのに中止になった舞台もあって。その人たちの気持ちを考えたら、私だったら絶対に壁を蹴ってるわ! って思いました。 でも、大変なのは映画、演劇に限らない。みんな等分につらいわけで。だけどこの禍 の中で自分なりに感じたのは、もうそんなにたくさん新しいものはいらないということです。「もういらない」というわけではないけれど、次から次へ新しいものをつくっていこうとか、どんどんキャッチアップしていこうということは、私の人生には必要ないと思いました。 ――どういうことでしょうか? 片桐:自分のなかで何が余計だったか、何が自分を疲れさせていたかっていうと、そういう「新しいもの攻撃」だったなという気がしました。 特に(自粛期間の)最初のころは「止まる」とか「休む」っていうことに恐怖があったので、何かしなきゃいけないと思って、10年分の映画のチケットと演劇のチケット、それをパネルに貼っていこうと思った。でも、あまりの多さに自分でもぐったり。「こんなに観てたのか」って。でも、全部おぼえているかって言ったら、それほどおぼえているわけでもないんです。だから、ひとつひとつの演劇とか映画を、もっと大切に扱おうと思ったんです。 ――家にいても「何かをしなければならない」という思いがあった。 片桐:なんだったらチケットを展示できないかなと思って。映画館でチケットの「もぎり」をやっているんですけど、もぎりっていう職業がなくなるのは確実なわけだから。そういう意味も含めてこの機会にやっておこうと思ってやり始めたんですけど、半分くらいやったらぐったりしちゃって。この期間は「休んだらいいんだよ」って気づいて、休みました。 ――俳優業のかたわら続けられてきた「もぎり」がコロナで無くなっていきつつあることについては? 片桐:寂しいですよ。映画館だって、ずっと前から危機に瀕していたことは瀕していたわけだから。今回の騒ぎで「大変なんだ」って注目してくださることがありがたいくらいで。だけど、その時代に必要がなくなってしまったら、それはしょうがないと思います。もちろん寂しいですよ。でも私たちは本当にたくさんのものを見送ってきたわけじゃないですか。映画館にしても、本屋さんにしても。好きだったものをたくさん手放してきたわけだから。これも「またか……」とあきらめるしかないと思っています。

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