世界最大の貨物機、アントノフ「225ムリーヤ」が5月23日と29日の2回にわたって、中部国際空港(セントレア)に飛来した。今回の飛来は中国・天津からカナダへ医療品輸送の途中で給油目的で立ち寄ったもので、運航されているのは世界でこの一機だけだという。
アントノフ225ムリーヤは1980年代に旧ソ連時代のウクライナで開発された。大きさは全長84m×全幅88.74m×全高18.1mもあり、中部空港に就航中であるボーイングの航空機部品専用貨物機「ドリームリフター」(全長71.68m×全幅64.4m×全高21.54m)と比べても二回りは大きいという感じだ。最大離陸重量600tもの能力を発揮するためにジェットエンジンは左右の翼に3発ずつ搭載し、着陸時の重量を支えるためにタイヤの数は前後合わせて20個にもなる。
また、垂直尾翼が両端に付いたH型のスタイルも注目で、この独特なスタイルは旧ソ連版のスペースシャトル「ブラン」を胴体の上に積んで空輸することを目的にしていたためだ。実際に使われたのは一度だけで、その後は旧ソ連が崩壊してしばらくは使われない状態になっていたという。しかし、2000年頃からその積載量が注目されて復活。今後は第二、第三の同型機が登場するとも噂されている。
セントレアにアントノフ225ムリーヤが飛来したのは2010年6月のテクニカルランディングが最初で、今年5月23日が2回目、29日と合わせると都合3回の飛来となる。一方、日本へは2010年2月にハイチ大地震復興支援を目的とした防衛省のチャーターで成田空港に最初に飛来。その後、東日本大震災の際は、2011年3月にフランス政府のチャーターにより救援物資運搬のために同じく成田空港に飛来している。
今回は5月23日午前6時過ぎに天津からセントレアに到着し、給油・メンテナンスの後に13時過ぎに米国アンカレッジへ向けて出発。その後、アンカレッジから最終目的地のカナダ・モントリオールへ運航されたという。29日も同じルートで午前6時半頃に到着。同日午前10時過ぎにアンカレッジへと飛び立っていった。セントレアによれば、本来なら飛来することを告知すべき案件だったが、見物客が増えることを避けるために事前告知は一切しなかったそうだ。
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May 29, 2020 at 06:33AM
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