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Sunday, March 8, 2020

志摩マース、3月末に実験終了 利便性良く一定効果 - 中日新聞

アプリで予約ができる相乗りタクシー=志摩市で(市提供)

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 近鉄グループホールディングス(GHD、大阪市)と志摩市などが協力して進めている志摩マース(MaaS)の第二弾実証実験が三月末で終了する。アプリでバスやタクシーの予約ができ、交通の便が向上するなど一定の成果も見えてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大による観光客減という予想外の事態も発生。市の担当者は「市民にとってもメリットがあり、残りの期間もぜひ利用してほしい」と呼び掛ける。

 実験では一月九日〜三月三十一日を第二期とし、アプリ「ぶらりすと」を導入。全国から伊勢志摩地域への経路検索、第一期の実験で運行した市内の交通手段の予約に加え、決済もできるようにした。

 観光客は、出発地から目的地までのルートの詳細が簡単に分かり、目的地の飲食店や体験施設の予約決済もスマートフォン一台で済ませられる。それだけじゃなく、このアプリの大きな特徴は、市民も使えることだ。

 アプリで相乗りタクシーや海上タクシー、バスが予約ができるため、通常の公共交通機関の経路にないルートを割安で移動できる。例えばタクシーの相乗りが成立すれば、運賃は40%引きとなる。

 近鉄GHDの集計では、二月末時点でアプリによるオンデマンド交通の利用は七百五十回あった。特に利用が多かったのは、市中心部の近鉄鵜方駅から英虞湾が一望できる横山展望台までの路線(三キロ)間で、半数以上を占めた。

英虞湾内で運行している海上タクシー=志摩市で(市提供)

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 ジャンボタクシーを走らせる市南東部の大王町の波切魚市場−桐垣展望台(七キロ)には、スーパーや市民病院など十一の乗降地点を設けて事実上の新路線とした。週末のみの運用だが、定期的に利用があった。

 これらの実験に水を差したのが新型コロナウイルスだ。

 アプリのダウンロード数は目標八千に対し、二月末時点で三千三百。伊勢志摩地域を周遊できる六千円のフリーパスの売り上げは九百枚にとどまっている。近鉄GHDによると、今回のアプリ導入はあくまでも実証実験であり、現時点で内容の変更などは考えていないが、鳥羽水族館や志摩マリンランドなど「フリーパスの対象施設が休館になったため、三月中は数字に影響がでそうだ」。

 志摩市観光協会はアプリのPRも兼ねて、ダウンロードすればアオサを贈るキャンペーンを二月上旬から始めているが、市の担当者は「もともとPR不足という側面はあった」と話す。「新年度も何らかの形で実験は続くので何とかダウンロード数を増やし、残りの期間で市内外への志摩マースの周知を進めたい」

 近鉄GHDは、新年度以降は利用者数や傾向などの結果を踏まえて今後の事業の方向性を決める予定。市内ではホテルのキャンセルが相次ぐなど新コロナウイルスの影響が出ている。観光産業の活性化と市民生活の向上という相乗効果が生じる実効的な計画が立てられるかが、事業継続のかぎとなる。

 (山村俊輔)

 <MaaS(マース)> Mobility as a service(モビリティー・アズ・ア・サービス)の略語で、移動のサービス化を意味する。さまざまな交通手段をITでつなぎ、多様な移動サービスを提供する。近鉄GHDと志摩市は昨年6月に協定を結び、市内の移動を円滑にするための実証実験を同10月から実施している。

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