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Monday, March 30, 2020

弱小宇宙機関が抱く壮大な夢 インドネシアのロケット計画(AFPBB News) - Yahoo!ニュース

(c)AFPBB News

【3月31日 AFP】「カウントダウン3、2、1」。打ち上げの合図とともに、全長2メートルの小さなロケットが炎を噴射しながら空へと昇っていく──。インドネシアの東ジャワ(East Java)州にある不毛の低木地でロケットの打ち上げ実験を行っているのは、同国の国立航空宇宙研究所「LAPAN」だ。

 ロケットは高度数百メートルに達した後、どさりと音を立て地面に落下した。それを見た科学者らは親指を立てるしぐさをし、実験が成功したことを明らかにした。

 米ヒューストン(Houston)にあるミッション管制センター(Mission Control Center)には程遠い状況だが、「インドネシアのNASA(米航空宇宙局)」の名で知られるLAPANが抱く夢は大きい。最東部パプア(Papua)州の沖にある熱帯の島に、同国初の宇宙基地を建設する計画を進めているのだ。

 LAPANのロケット技術センター幹部、リリス・マリアニ(Lilis Mariani)氏はAFPの取材に応じ、「われわれは独自開発した観測用ロケットを、5年以内に宇宙空間に送り込むという夢がある」と述べた。

 観測用ロケットには、飛行中にさまざまな測定や実験を実施するための機器が搭載される予定で、「農業や林業と関係のある大気についての研究に役立つ」としている。

 インドネシアの野心的な試みがどれほど現実的か、疑問を投げかける専門家もいる。実現するかどうかは、しぶしぶながらも政府が必要な資金をどれだけ出してくれるのかということにかかっていると関係者らは認めている。

 LAPANは研究用衛星技術開発で一部成果を上げてはいるが、日本、中国、インドといった他のアジアの宇宙機関に比べれば、その規模は小さい。それでも、インドネシア産のロケットを周回軌道に送り込み、宇宙科学の分野で他国と肩を並べることを目標に掲げている。

■次世代を触発

 1960年代前半にLAPANの設立とともに野心的な宇宙開発を開始したインドネシアは、国内用通信衛星の製造・打ち上げを米国に依頼し実施した最初の発展途上国の一つだ。

 LAPANはNASAと共同で宇宙飛行士を宇宙空間に送り込む計画を立てていたが、1986年に起きたスペースシャトル・チャレンジャー(Challenger)号の爆発事故を受け、この計画は見送られた。その他の機会もあったが、一つも実現していない。

 LAPANは現在、ロシアの国営宇宙企業ロスコスモス(Roscosmos)と将来のミッションに宇宙飛行士の一人を派遣することについて話し合いを進めている。しかし、これまでのところ具体的な詳細はほとんど明らかになっていない。

 インドネシアは長年にわたり、特に米国、ドイツ、日本、ウクライナなど世界各国の宇宙機関と技術面で協力してきた。2015年には、自然災害を軽減するための研究に利用されるインドネシア国産の人工衛星2基が、インドによって地球周回軌道に打ち上げられた。

 だが、インフラの欠如はいまだに深刻な問題だ。

 インドネシアは2019年11月、同国初の宇宙基地をパプア州沖に建設する計画をついに承認した。国内の既存の打ち上げ場は規模が小さすぎる上、人口密集地域にあるため、大型ロケットを打ち上げるには危険が大きすぎることを、同国は認めている。

 米宇宙業界コンサルティング会社「ブライス・スペース・アンド・テクノロジー(Bryce Space and Technology)」のフィル・スミス(Phil Smith)氏は「インドネシアの宇宙飛行士が、(同国の)宇宙開発の国際的な知名度を上げるかもしれない」と指摘する。

「それよりも、宇宙飛行士の派遣によってインドネシアの国民が触発されるという効果が大きいだろう」

 映像は2019年11月撮影。(c)AFPBB News

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