『アイ・アム・サ・ムーン』は、I. クレッセント、II. アセンション、III. ザ・フォール、そしてIV. フェアウェルの4枚で完結する形となるが、第一弾『アイ・アム・ザ・ムーン: I. クレッセント』の6月3日(金)リリースから始まり、ほぼ4ヵ月連続で1枚ずつ順次リリースされる。
『アイ・アム・ザ・ムーン』を4つのエピソードで構成してリリースすることを決めたことに関し、トラックスはジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの1967年のLP『アクシス:ボールド・アズ・ラヴ』を引き合いに出し、以下のようにコメントしている。「自分たちの好きなレコードを考え始めたときに決めた。このレコードの収録時間は36分。それがレコードを満足に消化する手段のひとつかもしれないと」
このようなアプローチを念頭に置き、TTB(テデスキ・トラックス・バンド)は『アイ・アム・ザ・ムーン:ザ・フィルム』も用意している。これは、各アルバムに付随した映像作品で、アルバム発売の3日前(日本では2日前)にバンドのYouTubeチャンネルを通じて公開し、各アルバムの全曲を聴いたり見たりする機会をファンに提供するというもの。アリックス・ランバートが監督を務めたこの映像は、スタジオや演奏の様子、雰囲気のある写真や画像を組み合わせて、音楽の万華鏡のような質感を美しく捉えたものになっているとのことだ。
第一弾『アイ・アム・ザ・ムーン・ザ・フィルム: I. クレッセント』は、6月1日(水)10:00am(日本時間)に公開される。
グラミー賞受賞バンドの5枚目のスタジオ録音作品となる『アイ・アム・ザ・ムーン』のコンセプトは、バンドがパンデミックによってツアーに出られなくなってしまった2ヵ月後の2020年5月に、TTBヴォーカルのマイク・マティソンの提案から始まった。ペルシャの詩人ニザーミー・ガンジャヴィによる12世紀の詩「ライラとマジュヌーン」は、エリック・クラプトンが1970年にデレク・アンド・ドミノスとしてリリースした2枚組LP『いとしのレイラ』のタイトル・インスピレーションにもなっており、全曲再現したライヴ・アルバム『レイラ・リヴィジテッド』を昨年リリースしているほどTTBに影響を与えたアルバムだが、この出典元の原作をグループ読みして、みんなで掘り下げないかとマティソンが提案。ニザーミーの原作は、マティソンとバンドの他のメンバーに、まったく別の形で響き、複雑なテーマとストーリーをそれぞれが見出し、それが創作活動のインスピレーションとなって100ページに及ぶ膨大な詩を新たに現代的に解釈することに成功したという。『アイ・アム・ザ・ムーン』は、バンド・メンバーそれぞれが独自の視点で作品に貢献し、共同作業で書き上げられ、2021年1月にフロリダ州ジャクソンヴィルにあるテデスキとトラックスの自宅スタジオ、スワンプ・ラーガでレコーディングを行なったという。デレク・トラックスがプロデュースし、長年のスタジオ・エンジニア、ボビー・ティスが録音とミキシングを担当した。
テデスキ・トラックス・バンドは、『アイ・アム・ザ・ムーン』において、ロマンチックな関係、集団的闘争、信仰、そして人間の経験について、オペラのような壮大な規模で探求している。「この曲のほとんどは、かなり短期間で書き上げられたことに自分たちも驚いている。テーマやヴァリエーション、歌詞の引用など、またアルバムの他の曲と同じようなコード・チェンジも入っている」。彼はこう続ける。「いつも何か大きなテーマ性のあることをやりたいと思ってきたが、今回初めて自然にそうなったんだ」
TTBは、この壮大なプロジェクトの第1弾がリリースされて間もない6月24日からジャクソンヴィルを皮切りに大規模なツアーを本格スタートさせる。ツアー中に新作が順次リリースされていき、このプロジェクトの全容が発表される頃には、さらに一段と大きなバンドへと進化しているに違いない。
■作品情報
・テデスキ・トラックス・バンド『アイ・アム・ザ・ムーン』全4部作
SHM-CD 各¥2,860(TAX IN)
からの記事と詳細 ( テデスキ・トラックス・バンド、壮大な4部作からなる新プロジェクト『アイ・アム・ザ・ムーン』を発表、トレーラーを公開。第1弾は6月3日リリース - MUSIC LIFE CLUB )
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