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2月18日に赤い大地に降り立ってから60日が経過した最新の探査ローバーPerseveranseが、火星の大気から酸素を生成することに成功したと、NASAが発表しました。
酸素を生成するのは、トースターほどの大きさであるMOXIE(Mars Oxygen In-Situ Resource Utilization Experiment)と称する機器。96%がCO2という火星大気を酸素と一酸化炭素に分離します。
将来的にこれを改良した装置が、火星にやってきた飛行士が現地で酸素を手に入れる手段を提供するために重要な役割を果たすことになるかもしれません。
「これは火星の二酸化炭素を酸素に変換するための重要な第一歩です。MOXIEにはまだ課題がありますが、今回の技術実証の結果には、人類が火星に降り立つという将来の目標に向け、大きな期待が寄せられます。酸素はわれわれが呼吸するためだけのものではなく、ロケット推進用燃料の燃焼にも必要です。将来の探査機は火星で生成した酸素を使用して地球へ帰還することになるでしょう」とNASA宇宙技術ミッション局の副局長ジム・ロイター氏は述べています。
NASAによると、ロケット推進のためには推進剤に対して重量比で5倍の酸素が必要になります。一方で、飛行士が火星で生活するだけならそれほどまでに大量の酸素は必要ではなく、年間1トンほどで済むとのこと。
ただし、CO2から酸素を取り出すには約800℃という高い温度が必要となります。そのためMOXIEは非常に高度な耐熱構造になっています。
MOXIEは1時間に最大10gの酸素を生成可能で、これは飛行士が20分程度呼吸できる量とのこと。Perseveranseは火星における1年(地球の時間では約2年)の間に、少なくともあと9回は酸素生成を実施する予定です。
NASAはMOXIEの技術によって火星の大気からロケットの推進剤や飛行士の呼吸用酸素を作るだけでなく、できあがった酸素と水素を反応させて水に変換することもできるとしています。
なお、NASAは今週、火星での初の航空機(回転翼機)であるIngenuityの飛行に成功しています。IngenuityもMOXIEもいまは概念実証的な段階ですが、いずれもいつか飛行士が火星を歩くときには必要な技術です。
(2020年4月23日TechCrunchJapan「NASAが初めて火星の大気からの酸素生成に成功、将来の有人探査に向けた実証実験」より転載)
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