1997年に設立した、イギリスのプロオーディオ機器メーカー「Audient(オーディエント)」。同社のミキサーコンソール「ASP8024」(現行モデルは「ASP8024-HE」)はロンドンのAbbey Roadスタジオほか、世界中のレコーディングスタジオに導入されており、高い評価をうけている。
彼らは、ミキサーコンソールやマイクプリアンプなどの業務用機器を展開する一方、DTMやPCオーディオ用で使えるコンパクトなオーディオインターフェイスも数多く発売しており、それらオーディオインターフェイスは、国内では、オールアクセスインターナショナルが取り扱っている。
今回は、Audientのエントリーモデルである2IN/2OUTのオーディオインターフェイス「EVO4」、そして4IN/4OUTの「EVO8」を紹介しよう。実売価格(税抜)はそれぞれ14,000円前後と、24,000円前後と価格も手ごろ。音質やレイテンシーなども含めてテストしてみた。
「EVO4」「EVO8」の製品概要と特徴
EVO4、およびEVO8は、数あるAudient製品の中ではやや異色の製品で、ホビー用、エントリーユーザー用に向けたオーディオインターフェイスとなっている。
そのことは形状からもなんとなく感じ取れる。まるで樹脂製のお弁当箱のようなデザインで、角も丸まっているカワイイ感じの仕上がり。手元にあるいくつかのオーディオインターフェイスと並べてみると、雰囲気的に異なることがお分かり頂けるだろう。
とはいえ、EVO4、EVO8ともにスペック面では引けをとらない。どちらもUSB-C接続のUSB 2.0対応オーディオインターフェイスで、最大96kHz/24bitに対応する。前述のとおり、EVO4は2IN/2OUT、EVO8は4IN/4OUTとなっており、入出力端子はかなり充実している。
まずEVO4から見ていくと、リアにTRSフォン/XLRの双方に対応するコンボジャックでの入力が2つ、そしてTRSフォンのバランス出力を2つ持つ。さらにフロントには、左側にHi-Zに対応したギター入力、右側には標準ステレオ端子のヘッドフォン出力が用意されている。
EVO8は、リアに4つのコンボジャック入力があり、TRSフォンでのバランス出力が4つある。またフロントにはギター入力が1つあるほか、右側には独立した2系統のヘッドフォン出力を備える。
入出力の構成は珍しいものではないのだけれど、ユーザーインターフェイスがユニークで、とても使いやすくできている。
Windowsの場合は、ドライバとセットとなったユーティリティーをインストール。macOSの場合は、ユーティリティのみをインストールして使う形で、そのドライバやユーティリティはEVO4、EVO8とも共通のソフトになっている。ただ、どちらを接続するかによって、起動するソフトや画面が結構違ってくる。
EVO4を接続すると「EVO Control」というソフトと、「EVO Loop-back Mixer」という2つのソフトが起動する。EVO ControlはEVO4のトップパネルを表示させたような形で、本体と連動して動くようになっている。
携帯電話のアンテナのようなアイコンは、ヘッドフォン出力を指しており、このボタンをオンにした上で大きいノブを回すとヘッドフォンの音量を調整できる。また、1を押してからノブを回すと入力1のゲインを調整でき、2を押してからノブを回すと入力2のゲイン調整が行なえる。
48Vのファンタム電源は、入力1・2それぞれが独立していて、片方だけをオンにすることも可能。また2つのフェーダーが並ぶミキサーのようなアイコンは、モニターミックスを調整するためのもので、これを押してからノブを左に回すと、入力端子からの音をモニター、右に回すとPCの出力をモニターでき、そのバランスを調整できるようになっている。
さらに目立つ緑のボタンは「Smartgain」という名称のもので、これを押すと両チャンネル、または各チャンネルの入力ゲイン設定を自動で行なえる。つまりマイクなどの入力状況に合わせ自動的に最適な音量に設定してくれるわけだ。こうした操作がすべて本体のトップパネルだけでできるのはなかなか快適。
EVO Loop-back Mixerは、メイン出力に出す信号のバランスを調整するミキサー。Loop-backと名付けられている通り、ループバックに対応したもので、たとえばOBSのようなソフトで入力をLoop-back 1/2(Audieont EVO4)に設定することで、このミキサーで調整した結果を配信できるようになる。
EVO8のほうも基本的な操作は同じで、本体トップパネルからほとんどの操作が行なえる。ただしEVO Controlはなく、ミキサーのみとなっている。このミキサー画面を見ても分かる通り、外部入力が4ch、PCからの出力も4chあるほか、それとは独立してループバック用の出力もある。そして、これらをミックスした上でメイン出力、ヘッドフォン出力に出せると同時に、先ほどと同様、OBSなどにループバックで出すこともできる。
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