トヨタ自動車は6日、今期(2021年3月期)の営業利益予想を前期比46%減の1兆3000億円(従来予想5000億円)に上方修正すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んでいた販売が回復しており、販売計画を見直したことなどが背景にある。
トヨタの新たな営業利益見通しはブルームバーグが事前に集計した市場予想の 平均値1兆2526億円を上回る。販売台数が3850億円の増益要因となったほか、為替も1650億円押し上げる。
同社の近健太最高財務責任者(CFO)は6日の決算発表会見で、株主による支援の感謝として5円の特別配当を実施すると述べた。中間配当は前年から5円増額し1株当たり105円となる。
トヨタ決算の概要 |
---|
通期見通し
7-9月実績
|
トヨタ単体の9月の世界販売は新型コロナ感染拡大以降で初となる前年同月比で
増加に転じており、7-9月期には前年同期比約93%(8月想定は85%)まで回復。年末から来年初めにかけて前年並みに戻るとしていた8月の決算時の想定を前倒しで達成した。7ー9月期には、主力の北米事業の営業利益が1873億円で前年同期比61%の大幅増となったことが利益面で貢献した
トヨタは未曽有のコロナ禍を受けて企業の多くが業績見通しを未定とする中、期初に通期の利益見通しを公表。豊田章男社長は決算会見で、基準を作ったことにより「各現場は変化に柔軟に対応できた」と振り返り、非稼働日は改善活動に取り組んだことなどで生産性が大きく向上し、生産や販売の担当者が必死になって仕事をしたことが「急速な販売回復につながった」と述べた。
新型コロナの影響で多くの競合他社が赤字に陥る中、トヨタは4-6月期に黒字を確保して地力の差を見せつけた。その後、世界大手の独フォルクスワーゲン( VW)や米 フォード・モーターが7-9月期は営業黒字に 転換するなど業界全体で回復基調が見えてきている一方、欧米では感染が再び拡大しており先行きには不透明感も漂っている。
近健太CFOは会見で、コロナの第2波、第3波の「リスクを考えると予断を許さない」と述べた。
トヨタの今期の主な計画値 |
---|
|
東海東京調査センターの杉浦誠司アナリストはトヨタが通期の営業利益見通しを上方修正するとの観測が以前からあり、「そこまでのサプライズはない」とコメント。9月以降、生産台数は高い水準に戻っていることからそれに見合ったかたちで利益が出てきているのではないかとし、「まだ上振れ余力はありそう」と述べた。
(会見での豊田社長らの発言や外部コメントを追加して更新します)
からの記事と詳細
https://ift.tt/3mS3Fi4
ビジネス
No comments:
Post a Comment