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Friday, July 31, 2020

新交通サービス「MaaS」、成功のカギはピークカットにあり!(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

MaaSで地域の課題を解決できるか?

 「MaaSで、伊豆の地域課題をどう改善するのですか?」  このシンプルで強烈な問いに、自信を持って答えることができずにいた。  MaaSとは、端的に言えば、電車やバスなどの公共交通の予約や決済が、スマホ1つですべて完了し、不案内な土地でも目的地にたちどころに行ける、というサービスだ。  東急は、2019年4月から、日本初の「観光型MaaS」を伊豆半島で展開してきた。半年強の実証実験で、約6,200枚のデジタル商品を売り上げ、伊豆の交通事業者や観光事業者の運営習熟度や、一定の認知度から、それなりに成功事例として扱われている。  確かに、異なる会社の電車やバス、観光施設でも、スマホの決済画面を見せるだけでシームレスに利用できることは、地元のIT化という文脈の中では「進歩」と呼べるかもしれないが、伊豆の根本的な地域課題を解決するには至らなかった。  それは、季節毎の繁閑差が激しく、ピーク時には、交通機関だけでなく人員もキャパ・オーバーになるという問題だった。  たとえば、2月10日から東伊豆の河津町で開かれる「河津桜まつり」では、普段は1日400人程度しか下車しない伊豆急線の河津駅が、1万人を超えるまでになる。普段の25倍である。かといって、駅員の数がその分増えるわけではなく、伊豆急はもちろん、東急本社からも応援要員を出すことになる。  今年はコロナウィルスの影響で、最混雑期でも普段の10倍程度だったが、券売機の前が人垣であふれ、駅に入ることさえできない光景は、普段の閑散ぶりを知っている者からすると、信じられないものだ。  バスやタクシーも同様に、繁忙期に台数や運転手を増やすことはできない。夏休みや大型連休を含めて3か月あるかどうかの繁忙期にあわせて、車両台数や要員を確保することは合理的ではない。だが、普段と同じ態勢で、10倍以上の観光客を迎え撃とうとすれば、バスはすし詰め、タクシーは呼んでも来ない状況になるのは、当然すぎるほど当然だ。  その結果、伊豆にやってくる8割の観光客は、自家用車でやってくることになる。東伊豆の国道135号線は激しい大渋滞に見舞われ、普段であれば40分で到達する伊東から小田原までが4時間もかかる。  自家用車はもちろん、同じ道路を走る路線バスも遅延し、さらなる公共交通離れを加速させるといった、誰も幸せにならない負の循環が起きている。  観光型MaaSは、自家用車に頼らず、公共交通だけで目的地に行けるサービスを目指しているけれど、都会の基準で言えば少ない電車やバス、タクシーの便数を増やせるわけではない。だが、この繁忙期に繰り返される負の循環をどうにかしないことには、「MaaSが伊豆の地域課題を解決する」とは言えない。

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