「道の駅」で地域活性化
だから今、全国の「道の駅」は、単にその道路を利用している人の休憩施設としてだけでなく、地元の人々の「買い物」や「食事」の場所にも活用されはじめている。 さらには、より広域の近隣地域の人々の観光や買い物の「目的地」としても認識され、場合によっては立派な「観光地」の一つとしても活用され「集客施設」としても十分に機能している。 だから一部の「道の駅」はすでに、例えばイオングループなどが手掛ける超大型ショッピングモール(以下、超大型モール)のような存在になっている。 超大型モールもまた、単なる買い物施設以上の、休日を家族で過ごす「観光施設」のような機能を持ち始めているからだ。 ただし、利用者側からみれば「超大型モール」も「道の駅」も類似した機能を持つものであったとしても、地域社会、地域経済の観点から言うなら両者は天と地ほども異なる。 冒頭で指摘したように、全国チェーンのモールと地元商店とでは、そこで出費されたマネーの「地域への還元率」あるいは「域外への流出率」が全く異なるからである。 そもそも「道の駅」に入っている商店は、地元資本の地元商店が主流だ。しかも、そこで扱われる商品も食材も、「政策的」に、つまり「意図的」に地域の産物が使われている(その意味において、先に紹介した京都や岡山の事例よりも、域外流出率はさらに低く抑えられる)。 したがって、全国チェーンのモールが繁盛すればするほど地域マネーが域外に流出し、地域の経済や産業が衰退していく一方で、「道の駅」が繁盛すればするほど、広域から集められた人々が出費したマネーがその地域に流入し、活性化していくのである。「道の駅」とは何か?
ここで少し、「道の駅」とは一体どういうものなのかを簡単にまとめておこう。 「道の駅」とは、基本的に駐車場、休憩施設、地域振興施設で構成される、道路沿いに整備された施設である。その事業の主体は、国と自治体であり、「登録」は国(道路局)が行っている。 最初に「道の駅」が作られたのは、平成5年(1993年)。その頃は国道等の幹線道路沿いに作られたが、その後、さまざまなレベルの道路も作られ、2017年3月時点で、全国に1107カ所登録されるに至っている。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。この特集の前回記事
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