スマートフォンから手軽に、近くのドライバーを見つけて乗車できる「Uber(ウーバー)」。人々の移動手段に革命をもたらし、タクシー産業に大打撃を与えた新しい配車サービスは、欧米を中心にシェアを伸ばし、現在は世界70カ国700を超える都市で運用されています。最近では、その安全性を不安視するニュースも目にしますが、Uber側も安全への取り組みを強化しています。Uberが追加した新しい機能「On-Trip Reporting(オン・トリップ・レポーティング)」について紹介します。
「Uber」とはどんなサービスか
Uberは、米国のウーバー・テクノロジーズが運営する配車サービスのことで、一般人が自家用車を用いて空いた時間でドライバーを務めます。ドライバーには稼働した分の賃金が支払われ、簡単な小遣い稼ぎとしても人気です。乗客とドライバーは相互に評価をつけるシステムがあり、相手に敬意を払う乗客またはドライバーであることを事前に確認できます。
Uberを利用するためには、ユーザーはまずアプリから車種やオプションを選びます。そして、乗車位置と目的地を入力し、料金を確認。問題がなければそのまま依頼をかけて、車が到着するのを待ちます。車の位置はGPSで場所を確認できるので、車が近づいたら乗車位置で待ち、あとは目的地まで車に乗るだけ。支払いはアプリ上で決済可能です。以下、Uberが人気の理由です。
- タクシーと比べて料金が安い
- スマートフォンで簡単に呼べて支払いもできる
- あらかじめ目的地と料金を共有しているため法外な金額を請求されない
- 言葉が通じない外国で目的地を伝える苦労がない(料金交渉制のタクシーに乗らずにすむ)
- 領収書がメールに届く
- (一部の国にある)タクシー侵入禁止区間も自家用車のため通行でき、時間が短縮できる
日本では、一般人が営業許可を取らずに自家用車(白いナンバープレート)でタクシー営業をする「白タク」を法律で禁止しているため、Uberのサービスは他国と少し違った形態をとっています(アプリで配車可能だが、ドライバーは全員プロ)。
報告されない小さな問題 リアルタイムで共有
Uberは新たに「On-Trip Reporting」という安全機能を導入しました。これには、乗客がドライバーの危険行為を小さなことでも報告しやすくするための目的があります。例えば、ドライバーが運転中に携帯電話を触っていたり、ブレーキに注意を払っていなかったり、安全性に欠ける行為をとった時、自分の携帯電話を取り出してUber側に報告ができます。
Uberは、この新機能は 「インシデント」 を報告するためのものだと説明しています。つまり、大きな事故ではないが、それにつながるおそれのある安全性の問題です。Uberアプリの「Safety Toolkit」内にあるレポートツールに、「Report a Safety Issue」 という新しいオプションができました。このリストをタップすると、問題が何であれ簡単なメモを入力できます。このほか、緊急時には緊急通報用の電話番号に直接つなげ、GPSでいち早く場所を特定し、乗客を見つける手助けをします。
「On-Trip Reporting」機能は、乗車中にリアルタイムで報告ができることに意味があります。それは、乗客が乗車中に安全面で不安を感じていたとしても、大きな事柄ではない場合、最終的に報告しない、という事実があるからです。Uberの調査によると、多くの乗客は降車すると、友人に会って食事をしたり、仕事の打ち合わせに行ったり、家族のもとに帰ったりして気が紛れ、Uberで起きた強めのブレーキや不適切な発言を思い返し、わざわざ報告しない傾向にあるのです。
Uberは「このレポートはドライバーと共有しない」と言っているため、現時点でレポートがドライバーにどのような影響を与えるかは不明です。しかし、Uberが今まで報告されていなかった小さな危険行為に目を向け始めたことで、ドライバーの質、安全システムはより向上していくことが期待できます。
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