日本は、すでに「移民社会」になっている現実を直視していない。移民政策などが専門の鈴木江理子・国士舘大教授は言う。日本に暮らす移民や移民ルーツの人を支援するNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)副代表理事でもある鈴木さんは、移民政策を「国家レベルの壮大な求人活動」にたとえ、外国人に選ばれる日本のあり方を問う。
――技能実習生、特定技能や留学生のアルバイト、日系人など、多くの外国出身者が日本で働いています。他の国と比べて、日本の特徴はどのようなものですか。
「日本ではすでに、多くの外国人が様々な分野で働き、生活しているにもかかわらず、その現実が見えていない、あるいは関心を持たない人が多いことだと思います」
「諸外国における戦後の国際労働力移動を見ると、一般的に、まず男性が国境を越えることが多いのですが、日本の場合は、女性移住者から始まったことが特徴的です」
――70年代末ごろから、フィリピンやタイなどからダンサーなどとして来た人たちですか。
「はい。かつて海外にわたる日本人女性を『からゆきさん』と言ったことから、当時、アジアから来日した女性たちを『じゃぱゆきさん』と呼んでいました。彼女たちの労働条件はきわめて劣悪だったにもかかわらず、性差別的な偏見から外国人労働者問題とは扱われず、風俗の問題として位置づけられました。80年代後半に男性が来るようになって初めて、外国人労働者問題として議論されるようになりました」
「80年代半ばになると、配偶者不足に悩む地方では『農村花嫁』と呼ばれるアジアからの結婚移住女性を受け入れるようになります。さらに技能実習生や、近年は介護などの再生産労働の領域で女性の外国人労働者は増えています。もちろん、日本に働きに来る男性に帯同する配偶者として、あるいは呼び寄せ家族として来日している女性もいますし、『農村花嫁』以外にも日本人男性との国際結婚は増えています」
日本社会で長く暮らしてきた外国人であっても、「安心して、安定的に生活できると感じることができていない」と鈴木さんは指摘します。その理由とは何か。それが日本社会にもたらすマイナス面についても、記事後半で考えます。
「しかし、相手が日本人であれ、外国人であれ、結婚生活がすべてうまくいくわけではありません。離婚もあります。家庭内暴力などに直面した時に問題となるのが、在留資格です」
――どういうことですか。
「問題なのは、『家族滞在』…
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