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Friday, October 21, 2022

電源開発の歴史と立山の壮大な自然に浸る 「黒部宇奈月キャニオンルート」をひと足先に体験 - コロカル

富山県の黒部峡谷と黒部ダムを結ぶ新しい観光ルートが
2024年に一般公開されます。
その名称が「黒部宇奈月キャニオンルート」に決まりました。

「黒部宇奈月キャニオンルート」

「黒部宇奈月キャニオンルート」は、黒部峡谷鉄道の終点欅平(けやきだいら)と
黒部ダムを結ぶ約18キロを工事に使われたトロッコやインクラインなどを乗り継いで
移動するルートです。

非日常的な乗り物で黒部ダムまで行ける新ルート

迫力ある放水でも知られる黒部ダム。
周囲は3000メートル級の山々です。
黒部ダムに行くには、長野県との県境に近いこともあり、
立山黒部アルペンルートを長野県大町市側から電気バスを利用するルートか、
富山県の立山町側からロープーウェイなどを使うルートが利用されてきました。

今回の新しい観光ルートは、黒部川第四発電所の建設などに伴って
昭和初期から工事専用輸送路として整備されたもの。
現在も発電所の管理等に利用されていますが、
安全対策工事完了後の2024年に一般開放されることになりました。

黒部川上流でのダムや発電所の建設は、険しい地形と厳しい気候の中で行われ、
さまざまな困難を乗り越えて行われたことがよく知られています。

一方、黒部峡谷の美しく雄大な大自然を守るため、
いくつもの設備や移動手段が、当時の技術を駆使して
地下に作られてきたことは、これまであまり知られてきませんでした。

「黒部宇奈月キャニオンルート」では、
そのトンネル内にある重厚で特殊な移動手段を利用します。

欅平から黒部ダムへは、黒部峡谷鉄道の欅平駅を降りたあと、
昭和10年頃から使われてきた工事用トロッコ電車に乗ります。

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工事に使われてきた竪坑エレベーター。

工事に使われてきた竪坑エレベーター。

その後、200メートルの標高差を一気に昇降する竪坑エレベーターへ。

そのあとは蓄電池機関車で黒部川第四発電所に向かい、
途中、高熱隧道(こうねつずいどう)と呼ばれる場所を通過します。

高熱隧道は、掘削を行った当時、岩盤の温度が160℃を超えていました。
そのため工事用のダイナマイトが自然発火してしまうなど、
工事が難航した場所です。

蓄電池機関車で通過する高熱隧道。

蓄電池機関車で通過する高熱隧道。

現在も周囲の温度は約40℃。
蓄電池機関車の中からも、硫黄臭や熱気を感じることができます。

続いてこのルートの醍醐味のひとつ、インクラインに乗って移動します。

インクラインは昭和34(1959)年に完成しました。
黒四発電所建設に必要な資材、機材の輸送に活躍しました。

斜度34度の急傾斜、長さ815メートルを20分かけて昇降します。

斜度34度の急傾斜を行き来するインクライン。

斜度34度の急傾斜を行き来するインクライン。

インクラインを降りた後は、
約10キロの黒部トンネルをバスで移動して黒部ダムに到着します。

湖面の標高は1448メートルで、日本随一の規模を誇る黒部ダム。

湖面の標高は1448メートルで、日本随一の規模を誇る黒部ダム。

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「黒部宇奈月キャニオンルート」のほとんどは地中を移動しますが、
その途中、立山連峰と黒部峡谷の荘厳ともいえる景色を目にすることもできます。
これまで登山上級者しか目にすることができなかった景観です。

竪坑エレベーターより欅平上部を降りた先にある竪坑展望台では、
真正面に奥鐘山の全景が広がります。

アシンメトリーなデザインも美しい仙人谷ダム。

アシンメトリーなデザインも美しい仙人谷ダム。

また、蓄電池機関車で通過する仙人谷では、
戦前に建設された仙人谷ダムと背後に雄大な山々を臨みます。

トンネルの横穴のひとつであるタル沢横坑からは、
「裏剱」と呼ばれる平地では見られない荒々しい稜線の剱岳を見ることも。

荒々しい裏剱の眺めも貴重。

荒々しい裏剱の眺めも貴重。

「黒部宇奈月キャニオンルート」は、電源開発の歴史が感じられる
重厚な設備や移動手段と、
周囲の雄大な自然の景観とのギャップも印象的です。
2024年の一般開放が待ち遠しいスポットです。

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黒部宇奈月キャニオンルート

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