誰もが語る宇宙の素晴らしさ
今月になって、宇宙から地球を眺めることの素晴らしさが盛んに喧伝されている。それがたとえ50マイル(約80km)か60マイル(約96km)のギリギリの境界線の先という曖昧な定義の「宇宙」であってもだ。宇宙に行けば人生が変わり、人類は運命共同体だと気づき、たとえ新型コロナウイルスを予防するマスクをつけなくても神と向き合うことができる、というわけだ。 こうした気運は、ブルーオリジンの弾道飛行ロケット「ニュー・シェパード」に乗り込んだベゾスと3人のクルーが、10分間の旅を終えて戻ってきた時にも如実に見てとれた。4人とも宇宙は素晴らしく、人生を一変させる体験だったと口を揃えたのだ。 ベゾスは帰還直後の最初の放送インタヴューでは、体験があまりにすごすぎて自分の言語能力ではとうてい表現できないし、言い表すことができるのは詩人だけかもしれないと語った。その後、改めて開かれた記者会見の場で、彼はなんとか言葉で表現しようとした。 感想を聞かれたベゾスは、まず「オーマイゴッド!」と大声で言った。それから静かな口調になり、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』のラストシーンのように、宇宙が人間本来の状態を取り戻させてくれたという感覚を表現しようとした。 「とても自然に感じられました。まるで人類があの環境に適応するように進化してきたかのように。そんなことはありえないとわかっているのですが、とても穏やかで平和な気持ちでした」 ベゾスが環境問題に高い関心をもっていて、気候変動対策基金に100億ドル(約1兆1,016億円)を投じていることは事実である。だが、そんな彼もカーマン・ラインの上から見下ろすまでは、地球がいかにもろいものであるかをちゃんと理解してはいなかったという。 「わたしにとって最も深い意味があったのは、地球を見ることと、地球の大気圏を見ることでした」と、ベゾスは語っている。「わたしたちがクルマで走りまわっているときは、大気圏はあまりにも巨大で、わたしたちはちっぽけな存在で、大気圏はとてつもなく大きい存在です。しかし、宇宙へ行くと、大気圏はびっくりするほど薄いとわかります。とても小さくてもろいものなのです。頭で理解するのと実際に目の当たりにするのは別のことです」 宇宙事業に乗り出しているもうひとりの大富豪リチャード・ブランソンも同様に感嘆の声を上げ、自ら出資して実現した弾道旅行は、言葉ではとても言い表せない体験だと語っていた。「正確に言い表すことは決してできないでしょう」とブランソンは記者会見で語っている。「えも言われぬ美しさです」 彼は「インスピレーション」という言葉を何度も使った。ブランソンから見れば、宇宙は無限に続く虚空ではなく、人生を一変させる山頂であり、人類が何を成し得るかを象徴するものだった。 このフライトに同行したヴァージンのオペレーションエンジニア主任のコリン・ベネットまでもが、畏敬の念を表明し、宇宙を一種の天国になぞらえた。「とても禅的です。そして宇宙は非常に平和です。印象的だったのは色彩と、その色彩が極めて遠くに見えることでした…。ひたすらうっとりしました」 彼らに言わせれば宇宙旅行とは、どうやらインスピレーションと美と、そして……人類にとって自然な状態へ戻ることを意味するようである。
からの記事と詳細 ( ジェフ・ベゾスが成功させた宇宙旅行には、単なる“冒険”には終わらない「壮大な目標」がある(WIRED.jp) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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