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Monday, July 19, 2021

ベゾス氏の宇宙事業、壮大な目標に向けた一歩 - Wall Street Journal

 アマゾン・ドット・コムの創業者、ジェフ・ベゾス氏が描く宇宙計画は、20日に予定されている小旅行をはるかに超越するものだ。

 ベゾス氏は、人類はいずれ太陽系内の各地に拠点を作らなければならないという信念のもと、20年以上にわたって宇宙ベンチャー企業ブルーオリジンに数十億ドルを投じてきた。

 ブルーオリジンはまずは宇宙市場でビジネスを展開することを目指している。モルガン・スタンレーによると、急速な技術開発によって日常的な月面着陸や小惑星採掘、宇宙旅行が可能になれば、宇宙市場の規模は2040年までに3倍に拡大し、年間売上高が1兆ドルを超える見通しだ。

 ブルーオリジンは、ベゾス氏と他の3人の搭乗者を11分間の飛行で大気圏との境界の宇宙空間まで打ち上げる予定だ。同社のロケット「ニューシェパード」初の乗客を乗せた飛行になる。

 成功すれば、新興の宇宙旅行市場に弾みをつける可能性がある。同市場には、英実業家リチャード・ブランソン氏のヴァージン・ギャラクティック・ホールディングスも参入している。ブルーオリジンにとってより広範な課題は、安定した収入源を得られ、会社に箔(はく)を付けることにもなる大規模な政府契約の獲得だ。米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)率いる宇宙開発ベンチャーのスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)は、そうした契約の獲得でブルーオリジンよりも先を行く。

 ブルーオリジンは何年もかけて事業を構築し、ロケットやエンジン、宇宙船を開発してきた。その取り組みを支えてきたのは、ベゾス氏が「宇宙への情熱」と表現するものだ。同氏は演説の中で自らに根本的な影響を与えた出来事に米宇宙船「アポロ11号」の月面着陸を挙げ、アーサー・C・クラークなどのSF作家や科学者であり作家でもあるカール・セーガンに言及している。

ブルーオリジンのロケット「ニューシェパード」

Photo: Blue Origin

 「もし私たちが太陽系に出て行けば、1兆人の人類が太陽系で暮らせるようになり、1000人のモーツァルトや1000人のアインシュタインが生まれることになる。これは素晴らしい文明化になるだろう」。ベゾス氏は2年前の講演でこう語った。その目的の達成に向け、ブルーオリジンは再利用可能なロケットの開発などによって、宇宙への打ち上げコストを引き下げることができると述べた。

 そうしたベゾス氏の発言は大きな金銭的関与を伴ってきた。同氏は、ブルーオリジンの資金を調達するため、毎年10億ドルのアマゾン株を売却していることを公表している。

政府関連ではスペースXがリード

 2000年にブルーオリジンを創設したベゾス氏は、2000年代初頭から同社のためにテキサス州西部に数十万エーカー(1万エーカー=約40平方キロメートル)の土地を取得し始めた。2005年には地元紙に、その土地にロケットの発射台を作りたいと語っていた。

 同社は現在、テキサス州の発射場のほか、フロリダ、カリフォルニア、アラバマ各州と首都ワシントンに施設を持ち、ワシントン州シアトル郊外に本社を構えている。ハネウェル・インターナショナルの航空宇宙部門の元幹部であるボブ・スミスCEOの下、3500人以上の従業員を擁している。非公開企業のため、財務諸表は公開していない。

 「(ベゾス氏は)アマゾンでやったように、得られた収入を全て資本設備とイノベーション(技術革新)に再投資している」。宇宙や米航空宇宙局(NASA)について執筆しているアメリカン大学のハワード・マッカーディ教授はこう話す。

リチャード・ブランソン氏とジェフ・ベゾス氏がそれぞれ創業した宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティックとブルーオリジンは宇宙船や輸送方法、飛行高度にいくつか違いがある(英語音声、英語字幕あり)

 ブルーオリジンの幹部は18日に行われた説明会で、今年は20日の打ち上げに続き、ニューシェパードに乗客を乗せてさらに2回の飛行を行う予定だと述べた。スミス氏は、いくらでチケットを販売しているかは明らかにしなかった。

 「支払い意欲は引き続きかなり高い。初期のフライトは非常にいい値段で販売されることになる」とスミス氏は述べた。

 新興の宇宙観光市場以外では、スペースXが宇宙関連の米政府機関に強固な足掛かりを得ている。連邦政府の支出データベースによると、NASAと米国防総省は過去14会計年度において、マスク氏率いるスペースXが獲得した52件の元請負契約に関連して28億ドルを投じている。ブルーオリジンが同期間に獲得した33件の契約に費やされた金額は、4億9650万ドルだ。

 ブルーオリジンは、スペースXとの競争や政府機関との協業計画についての質問には答えなかった。スミス氏は過去に、そのような顧客との仕事を獲得したいと述べていた。

 ブルーオリジンとスペースXは、2024年に打ち上げが予定されている月着陸船の製造契約を巡って対立している。アポロ11号が月面に着陸したのは1969年7月20日で、ベゾス氏が今週予定している宇宙旅行と同じ日だ。NASAは4月に着陸船の契約をスペースXに発注したが、ブルーオリジンはその決定について米政府監査院(GAO)に抗議しており、NASAが再入札を行う可能性が出ている。

 GAOは8月4日までにブルーオリジンの申し立てに関する決定を下す予定。米防衛関連企業レイドス・ホールディングス傘下のダイネティクスも着陸船の契約を競っており、抗議を申し立てている。

宇宙技術の売り込みも

 米連邦航空局(FAA)のデータによると、スペースXが今年これまでに打ち上げたロケットは23基と最も多い。同社の再利用可能なロケットは、宇宙到達コストの削減に役立つ。同様のコスト削減戦略を取っているブルーオリジンは、そのようなロケットの打ち上げは2017年後半から9回に上る。

 航空宇宙コンサルティング会社ティールグループの宇宙アナリスト、マルコ・カセレス氏は、ブルーオリジンについて「彼らには実績が必要だ」と述べた。

 20日に打ち上げが予定されている「ニューシェパード」は、準軌道宇宙への観光旅行用に設計されたロケットで、3.5フィート×2.3フィート(約107センチ×70センチ)の大きさの窓が複数付いた6人乗りのガムドロップ型カプセルを備えている。ベゾス氏のほか、ベゾス氏の弟であるマーク・ベゾスさん、82歳のパイロットで1960年代に女性宇宙飛行士の訓練プログラムを卒業したウォリー・ファンクさん、18歳のオランダ人学生で同社初の有料搭乗客となるオリバー・デーメンさんが乗船する。

 ブルーオリジンは、高さ321フィート(約98メートル)のロケット「ニューグレン」の開発も進めている。7台のメインエンジンを使用して大型の荷物を軌道に乗せることを目的とした宇宙船だ。2月にロケットのいくつかのハードウエア部品に関して進展があったことを明らかにしており、来年末をめどに初飛行を目指すとしている。

 ブルーオリジンは、自社の技術を宇宙市場に進出させる取引も交わしている。米国防総省や米国のスパイ機関用の人工衛星を打ち上げているユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)向けに、新型ロケットエンジンを開発中だ。このエンジンは現在使用されているロシア製のモーターに取って代わるものだが、予定よりも遅れている。またNASAは先週、深宇宙探査用の核熱推進システムの設計概念の作成に、シアトルに拠点を置くウルトラ・セーフ・ニュークリア・テクノロジーズ(UNSC-Tech)を選定したと発表した。UNSC-Techは、この件に関してブルーオリジンや米複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)と提携するとしている。

 ジョージ・ワシントン大学宇宙政策研究所の元所長であるジョン・ログスドン氏は、「(ブルーオリジンの)目標は、スペースXのようであり、ボーイングのようでもあり、ロッキード・マーチンのようでもある企業になることだ」と述べた。

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