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Wednesday, June 2, 2021

楽天Kobo Elipsaレビュー:バランスはいいオールインワン。紙とペンの使用感再現はreMarkableに劣る - ギズモード・ジャパン

あえての白黒画面好きとしては気になる端末。

メモ専用タブレットがあれば、紙とペンはもういらないかもと思えたreMarkable 2。その対抗馬となるのは、楽天Koboの初電子インクノート「Kobo Elipsa」。米Gizmodo編集部がレビューしました。


電子ペーパーはあちこち(お店の価格タグ、スーツケースのトラベルタグなど)で注目されてはいる一方、主となる使い方はやっぱりふたつ。紙の本に置き換わる電子書籍リーダーと、紙のノートとペンに置き換わるメモ帳としての使用。Kobo Elipsaは、そのどちらもできる1台2役の端末。ただ、1台2役だけに、どちらをメインで使いたいかによって少々意見が分かれるかと思います。

今回のレビューにて、僕がメインでチェックしたかったのは電子メモ帳としての使用感。紙とペンを電子ペーパーとスタイラスで置き換えるタブレット端末reMarkableの対抗馬という想定です。アップグレードされた最新のreMarkable 2には欠点がふたつ。画面が光らないことと、電子書籍を端末に入れるのに別端末が必要だということ。結果、メモ帳としては素晴らしかったものの、電子リーダーとしてはいまひとつでした。一方、今回のKobo Elipsaは、reMarkable 2の欠点ふたつを完全克服しています。が、個人的にはやっぱり電子書籍リーダーとしては物足りないというのが正直な意見。あくまでも僕のスタイルには合わないということなので、前述した通り、使い方次第で良し悪しは変わってくるかとは思いますが。

Kobo Elipsa

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ペンのストロークの選択肢は多くないものの、普通に使うには十分。
Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US

これは何?:Kobo初の電子ノート端末。紙とペンに置き換わるであろう電子インクのスクリーンとスタイラスペンのセット。

価格:400ドル(国内価格:4万6990円)。

いいところ:画面が光る=夜間、電気なしでもメモができる、ファイル編集ができる。

残念なところ:reMarkable 2ほど反応が良くない。ドキュメントをワイヤレスで同期するにはDropbox経由のみ。夜遅く読書する時など画面の色味が変化ができれば良かったのに。

大きめサイズの電子リーダーとして

Kobo FormaやKindle Oasisを大きくしたようなKobo Elipsaは10.3インチ。大きくなったのに伴って、ベゼルも厚くなったことで片手でも持ちやすいです(どちらの手で持つかによって画面は回転してくれます)。

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Kobo Forma(左)をそのまま大きくしたようなKobo Elipsa。
Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US

画面が大きいと、電子メモ帳としてドキュメントの余白を多めに設定して書き込みスペース増やしておけば、使い勝手はいいかと多います。電子リーダーとしては贅沢なサイズですが、読書時にメガネが必要な人には、例えば文字サイズを大きくするなど大画面ならではの便利さがあります。非メガネユーザーでも、文字サイズや文字間の設定をカスタマイズして、1画面になるべく多く文字表示するようにすれば、ページをめくる回数を減らすことができますね。もちろん漫画やPDFを見る人にとって大きな画面はうれしい。

クアッドコア1.8 GHzプロセッサとメモリ1GBで、reMarkable 2よりもPDFのズーム、スライドはスピーディ。とはいえElipsaもreMarkable 2も、LCD/OLEDスクリーンのiOS端末、Android端末と比べるとまだまだ。もし、お仕事でPDFを見る時間が長い、必須という人は、Kobo Elipsa(またはreMarkable 2)より、スタイラス対応のカラータブレット端末の方がいいと思います。ソニーの初期電子リーダー時代からすると、電子インクディスプレイは大きく前進してはいるものの、まだまだ進化すべき余地は大きいです。

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Kobo Formaと違って、Kobo Elipsaにはページ繰りボタンはなし。ボディには画面オン・オフのボタンひとつのみ。
Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US

電子リーダーとしてはいまひとつ。理由は、個人的にページを繰る物理ボタンがある電子リーダーが好きだから。Elipsaにある物理ボタンはひとつ、スリープモードと画面起動を切り替えるやつのみ。とても小さいボタンなので、ちょっと押しづらい。ページ繰りはすべて画面上のタップ・スワイプで行います。

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Kobo Formaの方がスクリーンの画質は若干いいものの、大きな違いはない。
Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US

Elipsa(10.3インチ)のE Ink Carta 1200のスクリーン画質は、Kobo Forma(8インチ)のHD Mobius E Inkディスプレイに若干劣ります。227ppi vs 300ppi。ただ、これくらいの差なら端末を左右に並べて比べないと気が付かないくらいなので、大きな問題ではなく。ちなみにreMarkable 2と比較するとディスプレイは同じもの。

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画面が光るのは、reMarkable 2と比較して大きなアドバンテージ。ただ、Kobo Forma含め他の電子書籍には当然ある光の色の切り替えはなし。
Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US

スクリーン画質に差はない一方、reMarkable 2との最大の違いは画面の灯。Elipsaは明るさ調整可能、つまり画面が光ります。メモ帳という視点から、モレスキン愛用者ならメモ帳が光るor光らないなんてそもそも論外の話でしょうが、そこはタブレット端末なので! 光らないと電子リーダーとしてはほぼ無意味。暗いところでメモ取ることある?と思いつつ、例えばパワポプレゼン中の暗めの会議室を考えると、確かに画面が光ってくれた方がメモも取りやすい。

ただ、ElipsaにはKoboシリーズのComfortLight PRO機能がありません。これは光の色を調整できる機能で、夜読書するときに黄色みの強い色にするのは今やあるあるなので、付いてないのが残念。というか不思議。

多少不満はあるものの、電子リーダーとして普通に使うことはできます。楽天Koboストアユーザーなら使い勝手はさらにいいかと。reMarkableはスマホかパソコンを使って書籍を端末に取り込む必要がありましたが、Elipsaは楽天Koboストアから購入できるのがいいですね。

電子メモ帳として

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消しゴムとハイライトとして使えるショートカットボタンがふたつ。
Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US

reMarkable 2と違って、スタイラスの充電は必要なし。スタイラスのふたつの物理ボタンは、デフォルトで消しゴムとハイライト機能が割り振られています。これはWacomのスタイラスと似たアプローチ。気になるのはビミョーなボタンの位置。もう少しペン先に近い方が、書いてる時に押しやすかったと思うのですが?

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チップが交換可能なのはいいのだが、そのせいで書くときに若干クリック音がする。
Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US

スタイラスのペン先は交換可能。つまり、紙感の強いElipsaのスクリーンで消耗する可能性があるということですね。交換できるのはいいとして、そのせいでペン先にクリック感があるんです。書いているとき、このクリック音がちょっと気になるような。慣れれば平気かも。

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SleepCover、使っていない時にスタイラスをしまっておくスペースもあり。
Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US

Elipsa専用ケースSleepCoverもあります。使わないときにスタイラスをしまっておくスペースがあるのがいいですね。マグネットでくっつけておくタイプではないので、スタイラスがどっか行っちゃう心配しなくていいのはうれしいです。SleepCoverは、端末の上下どちら側にも付けられるので、右利き・左利きでグリップする方向で決めればいいかと。

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ペンのストロークの選択肢は多くないものの、普通に使うには十分。
Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US

現時点で紙とペンの使用感を最も電子メモ帳で再現できているのはreMarkable 2。理由はスタイラスでスクリーンに書いたときのストローク表示が素早いから。これは自然な(紙とペンに近い)書き心地には絶対なんですが、Kobo Elipsaはいまひとつ。書いてから表示までのラグタイムがある。あるなと思うくらいしっかりある。PDFファイルなどの編集・添削ではなくメモ帳として使う場合、このラグは問題かと思います。

前述ですが、Kobo ElipsaとreMarkable 2は同じ電子インクディスプレイを採用しています。では、なぜKobo Elipsaでタイムラグが出るのか? Elipsaの画面は光る、つまりライティングを内蔵したことによって生まれたほんのちょっとのギャップが、スタイラスの表示時間に影響してしまったのかと思われます。もちろんメモ帳として使えないことはありません。ただ、紙とペンの使用感の再現は劣る。これがreMarkableがライティングを搭載しない理由なのでしょう。紙とペン体験か、光るディスプレイか。難しい選択です。

あと、Kobo Elipsaのファイル同期、もうちょっと簡単にできればなぁ。reMarkableはアプリを介して、タブレット端末、モバイル端末、パソコンとリアルタイムで同期しておけます。一方で、Elipsaはワイヤレス同期ならDropbox頼みというね(パソコンからケーブルつないで転送も可)。ここは改善の余地大いにありなので、今後に期待。

Kobo Elipsa vs reMarkable 2

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左:reMarkable 2 右:Kobo Elipsa
Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US

今、電子リーダー兼電子メモ帳を選ぶなら、Kobo ElipsaとreMarkable 2どちらがいいのか? 答えは「その人の使い方で変わる」です。僕は、デスク上に広がるメモ帳・ノートの代替品として、会議のメモやアイディアを書き留めておくツールとして使いたい派。そうなるとペンと紙の感覚が大事になってくるので、reMarkable 2が好きです。実際reMarkable 2を使い始めて、長年愛用していたモレスキンとついにお別れできました。夜使うなら部屋の電気つけないとだし、旅行に行くときは別に電子リーダー持っていきますけど、それでもreMarkable 2の書きやすさには満足しています。

一方、Kobo Elipsaの魅力はオールインワンの電子インク端末であるということ。電子書籍の購入から、スタイラスでの落書き、暗所でも大丈夫、それが1台でできることに利点があります。電子メモ帳としても安定しており、例えばドキュメントの添削したい人なら問題なし。でもやっぱり、さっとメモを取りたい人には向いていない。ただ、これは初代のreMarkableにも言えたことで、ソフトウェアアップデート数回を経た後に改善されている可能性もあります。てことで、どちらを購入するのか悩む要素はたっぷり、個人差が大きいんです。

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