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Wednesday, December 30, 2020

「サイバーパンク2077」の“炎上”に見るゲーム業界の課題から、中国が達成した量子超越性まで:2020年12月に最も読まれた10本のストーリー - WIRED.jp

この12月は、長らく期待されていたオープンワールドRPG「サイバーパンク2077」の完成度に対する不満と、販売元であるCD PROJEKT REDの対応が招いた大きな批判が取り沙汰された。同作は開発におよそ10年が費やされた壮大なプロジェクトで、数年におよぶマーケティングの心理工作も相まって、完成するはるか以前から舌の肥えたゲーマーたちの心を鷲掴みにしていた。同社は1億ドル以上に膨れ上がった莫大な製作費を、発売日を待たずして800万本を超える予約購入の売上だけで回収したのだ。

しかし、たび重なる発売延期の末に蓋を開けてみれば、ゲーム史上で最も画期的なデジタル体験と祭り上げられていた超大作の中身は、未完成のまま打ち上げられたハリボテのロケットだった。現代のゲーム業界にありふれた一般的なオープンワールドゲームから代わり映えのしない世界設定に、特に技術的なブレイクスルーを見い出せないゲームAI、そして極めつけは没入するプレイヤーを興ざめさせる膨大な不具合の数々と、デジタル体験とは名ばかりの不十分な最適化。PlayStation 4のような前世代ゲーム機では返金騒動にまで発展した。

特筆すべきは、長年にわたって築かれてきた作品への期待と現実のギャップ、それにより打ち砕かれた信頼の大きさである。CD PROJEKT REDは発売の数年前から一部のジャーナリストにプレヴューを提供し、こうした人々が無条件に褒め称えるような言葉を見事に引き出した。

一方で、ゲームの完成を宣言したあとで2度の延期を決定。発売直前の2020年11月には、ゲームのプレイ映像をレヴューに使用することを禁じる秘密保持契約をメディアへ送付したのだ。臭いものに蓋をしてでも発売を強行した決断について、のちに同社のCEOは謝罪している。

近年のゲーム業界において、このように人々の希望を食い物にするような事例は、決して今回が初めてではない。オープンワールドゲームに対するゲーマーの期待が肥大化するにつれ、それに応えようとする開発側の経済的コストや現場の負担も膨れ上がっていく。こうした実情が、ジャンル全体を持続不可能にしているといっても過言ではない。入念なプロモーション活動によって、たとえ莫大な製作費を回収できたとしても、期待を裏切られたファンの信頼が戻ることはない。

量子コンピューターの黎明期に新たな希望

12月といえば、中国の量子研究グループが独自の量子超越性を達成したと発表したことも記憶に新しい。量子超越性とは、量子コンピューターが従来型コンピューターの限界を超えた計算能力をもつことを意味する。同グループの量子コンピューター「九章」は、世界第3位の強力なスーパーコンピューターでも20億年以上かかる計算を数分で終えたという。

量子コンピューターのプロトタイプによる量子超越性に関しては、2019年10月にもグーグルが実証に成功したことが話題になった。その際は、54個の量子ビットを搭載した「Sycamore」と呼ばれる超電導チップを、絶対零度をわずかに超える温度まで冷却する手法が用いられた。

一方、中国のグループによる今回の実証では、実験台に配置された光回路を通過する光子形態の量子データが採用された。このプロセスの最後に読み取られる光子が量子ビットに相当する。いずれの量子コンピューターもまだ実用化の段階にはないが、根本的に異なるテクノロジーを用いてスーパーコンピューターの計算能力を超える可能性が実証されたことは、黎明期の業界にとって希望の灯火となるに違いない。

量子超越性の関連記事

ここからは、12月に「WIRED.jp」で公開された編集記事を中心に、最も読まれた10本を紹介する。

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