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Wednesday, June 24, 2020

壮大な「行って来い」の株式市場から学ぶべきこと - 日経ビジネス電子版

全5348文字

今回の「行って来い」の特徴はスピードにあり

2020年はあっという間に半分過ぎてしまいました。その間に、新型コロナに伴って株式市場は記録的な下落を見せ、と思ったら記録的な回復。新型コロナウイルスの脅威が去ったわけでもなく、経済の先行きについて急に楽観的な要素が増えたわけでもないのに、市場にこういう動きをされると、私みたいな素人には「なんでこうなるんだろう」としか言いようがありません。

居林:まずは解説して、次にそこから何が学べるのか、という順序でお話ししていきたいと思います。

 上の図を見てください。ソニー、トヨタ、日経平均の増減率を、過去の株式相場の下落局面と回復期とで並べたものです。コロナ禍の時よりもリーマン・ショックのほうが、下げ幅ははるかに大きかったのですね。

本当だ。

居林:この図では分からないのですが、実は今回のショックの特徴はそのスピードにありました。

スピード。

居林:はい。過去に例を見ないぐらい極端なスピードで日経平均が下がりました。4週間で31%の下落で、これはリーマン・ショック時以上の下げ「スピード」だったわけです。

はい。

居林:ということがよく言われていて、その通りなのですけれども、「ということは、リーマン・ショック以上のマイナスの大波が来るんだ」というふうに、連想ゲームをなさった方がかなりいたと思います。でも、結果は図の通り、それはちょっと当てはまりませんでした。

下げ幅を見ると、リーマン・ショックほどじゃ全然ないですね。

居林:そして上がるほうは11週間をかけて38%も急上昇して、ほぼ行って来いで年初の数字に戻った(底値を分母に上昇率を計算しているので38%上昇しても高値には戻りませんが)。つまり結果としては「壮大な行って来い」となり、今回の新型コロナをめぐって株式市場では「新型コロナの新規感染がピークを打つまでは投資家の見方が大幅に弱気に振れ、経済再開後の回復、ワクチン開発の進展を材料にして急速に強気に振れた」という大きな投資家心理の上下動を見たわけです。 

いくら壮大でも、結果は「行って来い」では、なんだかちょっと膝カックンというか、拍子抜けな感じですが、そこから何を学ぶべきなのでしょうか。

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