町のシンボル
春の心地よい風が吹きぬける季節。
茨城県笠間市にある「笠間市立つつじ公園」、通称つつじ山は、広さ約7ヘクタール。
標高143mの小高い山に、山ツツジ、キリシマツツジ、オオムラサキツツジなど20種類以上、約8500株のつつじが山を彩る。
つつじ公園には山ツツジの中でも特に赤色の濃い「山ギリ」という珍しいつつじもある。山ツツジに、赤のキリシマツツジの花粉が受粉して生まれたことから、市の造園組合では“山ギリ”と呼んでいる。
つつじ山は高い山ではないものの、盆地上に広がる笠間市のほぼ中央部にあることから、周囲を取り囲む山と町を同時に一望することができる。
つつじ公園のつつじは山の斜面に咲いているため、上からも下からも楽しめる点が魅力の一つだ。
山を登る時も目の前に壮大な景観が広がり、山を下るときも雄大な眺望が展開する。
山頂からは新緑の緑、空の青に加え、つつじの赤いコントラストが美しく、ゴールデンウィークの時期には水田の水にも景色が映り込み、まるで絵画のような絶景が広がっている。
夕方になると夕陽に照らされたつつじが、より一層赤みを増し、日中とはまたひと味違う心惹かれる景色を楽しむ事が出来る。
つつじは6月から7月の間に翌年の花芽をつける。虫に食われたりしないよう丁寧に手を入れ、秋から冬にかけては肥料などを与える。
開花の約1ヶ月後から新たな準備が始まっている。1年を通した作業のおかげで毎年この美しい景色が守られ、来園者を楽しませてくれている。
市民に支えられた歴史
つつじ公園は昭和42年、町の観光地を増やそうという笠間市の政策から誕生した。
市の人口と同じ数、約3万5千株のつつじを山に植える計画が立てられ、市民が各々つつじを持ち寄り植えた活動「つつじ一株運動」だ。現在咲いているつつじのほとんどが、このとき植えられたものだ。
この活動を支えた青年団に所属した圷勇一さん(82)によると、当初の計画では青年団だけでつつじを植える予定だったが、山が想定より広すぎたため市民に声をかけたという。
圷さんは12年前までつつじ公園の麓で陶器を販売する店を営んでいたが、現在は息子さんが跡を継ぎ、雑貨なども販売するカフェになっている。
毎年この時期になるとつつじ山は赤く染まり、昔と変わることなくとても綺麗に見えている。
まだ小さかった孫に一株運動の話や笠間市の歴史の話をしながら散歩で登ったつつじ山は、圷さんにとって身近にありながらとても思い出深い場所になっている。
一株運動からおよそ50年。つつじ山から見える景色は少し変わってしまったが、つつじ山は姿を変えることなく笠間市を見守っている。
数々の試練乗り越え毎年満開
つつじまつりは、毎年開花時期のゴールデンウィークに合わせて開催される。つつじの販売や郷土芸の演奏、地元のアイドルの公演などが行われ、毎年約2万人の観光客が県内外から訪れる。
今では毎年美しく咲き乱れるつつじだが、危機的な状況になったこともある。
15年ほど前、つつじが病気になり、見頃のゴールデンウィークの時期が来ても、なかなか花を咲かせなかった。公園は管理方法を見直し、山全体をエリアごとに分けて、5つの造園業者に担当させた。そして、一番うまくいった育成方法を皆で共有するようにしたことで、つつじは徐々に回復していった。
約5年前からは、台風によって多くの倒木被害を受けるようになった。それまで花を大きくすることなどに重点をおいてきた結果、風の影響を受けやすくなったためだ。つつじの根っこから根本的に見直すことが求められた。
2019年から2020年にかけては、来園者により美しく元気なつつじを見てもらおうと、弱っているつつじを日陰に、元気なつつじを日向や別の公園に移動させるなど、工夫、試行錯誤を繰り返している。
2020年は新型コロナで祭り中止
2020年、つつじまつりは新型コロナウイルス感染の影響を受けて中止となった。
1年かけて準備してきた笠間市観光協会の飯村修さんは、既に来年を見ている。「1年かけて色々な面を変えてきた。お祭りが中止になりお客さんに見てもらえないことは残念だが来年はまた今までと違う新しいことも行いたい」と語ってくれた。
開催期間が約20日間のお祭りは、花が六分から七分咲きまでは無料で公開されている。地域の人は、町から見上げて赤くなった頃に山を訪れ、風物詩を楽しむ。
進化し続けるつつじ公園。
2020年は残念ながら見ることができないが、町の人たちの生活に溶け込んでいるつつじを2021年も楽しみに待っていたい。
撮影後記
ゴールデンウィーク。
本来であれば日本各地お花見の名所やレジャー施設は、人で賑わうはずだが、今年は例年通りとはいかなかった。
新型コロナウイルスの影響が全国各地に広がっていて、外出のできない日々が続いている。
つらい日々が続く中、少しでも心安まればと、笠間市立つつじ公園の美しい景色を視聴者に届けようと思った。取材申請したところ、現在は休園中の公園から特別に許可が頂けた。
撮影はよく晴れた4月の終わり、つつじが一番見頃の時期だった。
コロナウイルスに関する取材が続き、心が少し疲れていたのかもしれない。色とりどりのつつじで満たされた公園に一歩踏み込むと、自然に笑顔になった。自然の美しい景色は堅くなった心をいとも簡単にほぐしてくれる。
つつじが満開の中、誰もいない公園の撮影をした。そこにあったはずの笑顔の人たちの姿が全くない。これまで体験したことのない経験だった。賑やかな雰囲気が全くないことが寂しく感じた。
なかなか終わりを意識させてもらえないくらい、きつくつらい日々が続いている。
今の時代、テレビや新聞SNSなど様々の所から情報を受け取る事ができる。
沢山の情報が身近にあるからこそ目につきやすく、気が重くなるようなことも多い気がする。
だが情報を集めるその中で、この記事を見つけ少しでも気持ちが柔らかくなってもらうことができたら幸だ。
来年のゴールデンウィークは日本各地が笑顔であふれることを願っている。
撮影・執筆:石黒雄太 岡果林
笠間市立つつじ公園: 茨城県笠間市笠間616-7
"壮大な" - Google ニュース
May 18, 2020 at 08:30PM
https://www.fnn.jp/articles/-/43293
息をのむ美しさ 彩り豊かな8500株のつつじを特別撮影 休園中の笠間市立つつじ公園取材 - www.fnn.jp
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