1992年に「CR-Xデルソル」を出したころ、ホンダはイケイケだった。このクルマの特徴は、2人乗りで、格納式ハードトップを持つこと。スタイルはピュアなスポーツカーではなく、エレガントさに重点が置かれていた。そこがユニークだ。
(TOP写真:ルーフの格納にはまずトランクの格納装置が上まで持ち上がる)
ホンダが「イケイケだった」としたのは、その当時の車種構成の豊かさゆえ。91年には、2シーターオープンの「ビート」と、グラマラスなスタイルの4代目「プレリュード」を発売している。
CR-Xデルソルと同じ92年には、パワフルなスポーツカー「NSX-R」と、高級感あるセダン「ドマーニ」。180度方向性が異なる車種を出した。懐の深いホンダらしいラインナップだ。
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電動はトランストップ仕様とよばれた
93年になると、スポーティーなクーペ「インテグラ」の2代目と、大型化して高級化した5代目「アコード」を発売している。ただし、90年代後半になると、同社は(私見では)確実に市場性のある、手堅い、別の言い方をすれば、ちょっとつまらない車種構成へと舵(かじ)を切っていく。
CR-Xデルソルは、クルマに夢のあった“よき時代”の産物だ。オープントップのクーペゆえ、日本では趣味的に楽しむ、ちょっとぜいたくなクルマという印象だった。
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コンパクトな全長だが写真だと大きく見える
とにかく面白いことを何でもやってみよう。トヨタ車ほど売れなくてもいい。そんな風に本当に社内で言われていたかどうか定かではないけれど、クルマ好きが作った、という印象で好感度が高かったのだ。
CR-Xデルソルは、プロファイル(側面)をみると、キャビン後のリアクオーターパネルが後輪よりずっと前に位置していたのが、一風変わったスタイルである。
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メーターナセルまで一体成型の凝った作り
ルーフパネルを収めるためにリアデッキを長くとらなくてはならなかったのだろう。そのため、ピックアップトラックを思わせる、小型キャビンにロングデッキというプロポーションだ。
ピックアップトラックなら、もちろん、そこが荷物置きになるのだが、CR-Xデルソルでは、ルーフを収納するため上に荷物を置くわけにもいかない。結果として、デタッチャブル(脱着式)ルーフを中心にすべてがデザインされているような、“無駄を許容するデザイン”になった。
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SiRはボディーと同色のアクセントがシートにも
ルーフの開閉方式も、いってみれば壮大な無駄だった。手動操作式もあったのだが、電動は仕掛けが大がかり。リアのトランク部分からハシゴのような仕掛けが立ち上がり、ルーフの下にアームを差し込んで、手前に引き込むと収納スペースへと持って入るのだ。
凝ったメカニズムで、一見の価値があった。こういうカラクリも、昨今は少なくなったなあ、とこれを書いていて思った。多くの自動車メーカーをみても、一時期多かったハードトップ(リアウィンドーもはまった状態の“固い”屋根)を電動格納する方式も今はほぼなくなり、幌(ほろ)を使ったソフトトップが主流だ。
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エンジンは1.5リッターSOHCと1.6リッターDOHC(写真)の2種類
ソフトトップに戻ったのは、より広い収納スペースの確保、クローズドにしたとき重心が高くなりがちで操縦性に影響が出る、など理知的な理由が多い。
それはそれでもちろん大事である。ただ、あえて書いてしまうと、バカバカしいと思われても、壮大な仕掛けが消費者にアピールし、それが商品力に結びつく“よき時代”だったように思う。自動車文化の本質が多様性にあるとしたら、そういう時にこそ花開くのだ。
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ルーフが収まっていると荷室は使えないという割り切りのよさ
(写真提供=Honda)
【スペックス】
車名 ホンダCR-XデルソルSiR
全長×全幅×全高 3995×1695×1255mm
1595cc直列4気筒 前輪駆動
最高出力 170ps@7800rpm
最大トルク 16.0kgm@7300rpm
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