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Tuesday, March 17, 2020

米シリコンバレーで始まった外出禁止令、懸念される治安悪化 - 日経ビジネス電子版

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シリコンバレーの行政当局によって出された命令

 シリコンバレーとサンフランシスコ市などを合わせたベイエリアの行政当局は米国時間の3月16日、17日0時から3週間、原則として外出を禁じる命令を出した。食料品の買い出しやガソリンスタンドでの給油など、生活に必要な行動は制限されない。新型コロナウイルスの感染の封じ込めを図る目的で、約700万人に影響がおよぶ。

 レストランでの店内飲食やバー、ネイルサロン、理髪店などの営業は禁止される。旅行や不要不急の用事での外出、家庭内でのパーティーなども禁止だ。仮に命令に反すると、カリフォルニア州法に基づく軽犯罪として扱われる可能性がある。

 食品スーパーや薬局、医療機関、ガソリンスタンド、金融機関などは営業を継続でき、必要があってそれらの施設に行くことは許される。公園などを散歩するのも可能だが、他人との距離を6フィート(約180センチメートル)取ることが求められている。

GAFAのお膝元で壮大な「社会実験」

 サンフランシスコ市と、シリコンバレーのサンタクララ郡やサンマテオ郡、バークレー市を含むアラメダ郡など、6郡1市が対象となる。

 これらの地域には米国の競争力の源泉であるテクノロジー企業大手が集積しており、従業員の間で感染が深刻化すれば米国経済への影響も見過ごせない。テクノロジー最大手のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの「GAFA」のうち3社が本社を構え、アマゾンのオフィスもある。

 サンタクララ郡のマウンテンビュー市にはグーグル、同クパティーノ市にはアップル、サンマテオ郡のメンローパーク市にはフェイスブックなどが集積している。サンフランシスコ市にはウーバーテクノロジーズやエアビーアンドビーなどおなじみの企業が本社を構えている。

 こうした大手テクノロジー企業の多くは既に自宅待機の措置を取っており、リモートで働くための環境もそろっている。GAFAのうちの1社に勤める、あるエンジニアは「もともと家の用事で午前や午後だけ自宅作業をするなどのリモートワークをしていた。これまでとあまり変わりなく特に不便なことはない」と話す。

オンラインで新型コロナウイルスへの感染を判定するサイト

 なぜこのタイミングでの外出制限令だったのか。1つにはトランプ大統領が13日の会見で明らかにした、オンラインスクリーニングサービスの準備が整ったからではないか。

 サンタクララ郡、サンマテオ郡の住民を主たる対象として15日からベリリー・ライフサイエンシズによるオンラインのスクリーニングが開始された。インターネット上で5分程度の質問に答えることで、検査が必要かどうかを判定してくれる。

 外出制限で自宅内にとどまらせた上で、実際に新型コロナウイルスに感染した人を効率的に見いだす仕組みを用意したわけだ。感染の可能性があると判断した場合、実検査の予約ができる。

 政策とテクノロジーを掛け合わせた壮大な社会実験とも言える。ベリリーはグーグルの親会社であるアルファベット傘下の生命科学会社でもある。

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